吉木はいつものあの和樹のいる店に電話をかけた。 和樹の指名ができるかを尋ねる。1時間半待てば、空くとのことだった。それでいいことを伝えると、指定されたホテルへ行った。 提携されているため、部屋はかろうじて空いている。今日は部屋を選ぶことはできなかった。否応なしに、空いている部屋を使うことになる。 先に部屋に入ると風呂に入った。さっき殴られた時に口の中を切ったみたいだった。少し腫れてはいるが青あざになるほどではなさそうだ。 バスローブを着て待つ。 そうこうしている間に、時間になったみたいだった。部屋のドアがノックされる。開けるとトナカイの角のカチューシャをつけた和樹が立っていた。 「メリークリスマスー。和樹トナカイがよし君にプレゼント持ってきたよ〜」 いつものかわいいキャラになり切って抱きついてきた。吉木は、いつものように反応できずにいた。その反応を見て、和樹は少し戸惑っているようだったが、そのまま続けた。 「よし君に会えると思ってなかったから、今日はTバックじゃないんだ〜。でも見て〜。今日はノーパンなの〜」 そう言ってヒラヒラしたトナカイコスチュームのスカートの裾をピラっとめくった。その姿を見て吉木は和樹にむしゃぶりついた。 「わおぉ！どうしたの？よし君？そんなに興奮しちゃった？」 そう問いかけられても、夢中で和樹の体を弄った。 「よし君、今日は情熱的ー。そんなに舐められちゃうと、和樹、体溶けちゃうよぉ？」 そう言われても無言のまま愛撫し続けた。 「やあぁぁん。溶けちゃうぅう」 そう言いながら和樹は上手にバスローブの紐で吉木の腕を縛り上げた。さすがプロだ。いつもと違うことを察して、最善の策を取る。自己防衛のためでもある。 「え？？和樹？」 「今日はお姫様じゃなくって、和樹が女王さまね」 そう言われて、上に跨がれて、キスをされる。 「よし君のいいとこどこだー。この小さな二つのお花かな〜」 そう言いながら、吉木の乳首を甘噛みしてくる。 思わず声が漏れる。 「あ、当たったみたいー。和樹のここもしてほしいな〜」 そう言いながら、吉木の口元に自分の乳首を持ってくる。吉木は夢中で舐めた。口の中が切れて痛いことなんてお構いなしだ。 「ああぁん。そこそんなに強く吸っちゃいやぁぁん。ジンジンするぅう」 そう言っていたかと思うと、今度は自分の真ん中の竿を、吉木の大きくそそり立っているその竿に擦り付けてくる。それだけでだいぶ気持ちがいい。 「よし君。今日すごく大きいよぉ。和樹の蕾にちゃんと入るかなぁ？」 そう言いながらも体を使って、吉木の体を這いずり回る。 「和樹、今日は激しくしたい」 その言葉を聞いて、和樹は優しく微笑んで、耳元で、 「優しくしてくれるぅ？優しく愛してくれるなら、激しく抱いていいヨォ」 そんな囁きをしてくる。 吉木はうなずく。もうその言葉だけで、脳まで痺れる感触だ。 「お願い、舐めさせて・・・」 思わず和樹に懇願していた。 「もお、今日のよし君わがままぁ。でもいいよ。僕のことちゃんと気持ちよくしてね」 そう言って、顔の上にまたがってきた。一心不乱に、和樹のその小さな穴を舐める。きっとさっきまで違う男としていた筈だ。でももう、そんなこともどうでもいい。自分のこの欲望の一切合切を吐き出したかった。 「はあぁぁん。気持ち良すぎぃぃ。もう見て〜、こんなにクパクパしてるよぉ」 「和樹、お願い。入れさせて」 「どこに何を入れたいか、和樹聞きたいなぁ」 そんなことを言ってくる。 本当にプロ中のプロだ。 吉木は素直に従う。 「俺のおちんちんを和樹のかわいいお尻の穴に入れたい。お願い・・・」 和樹がクスッと笑って、応じてくれる。 「ああぁぁ。入るよぉぉぉ。すごい大きぃぃぃ」 そう言いながら深く腰を落としていく。もう吉木は爆発しそうになっていた。思わず腰が動いてしまう。そのタイミングで吉木の腕を解放してくれた。 「和樹、痛くない？ちゃんと気持ちいい？」 「うん、大丈夫だよ。ちゃんと気持ちいいぃぃぃぃ。ああ・・・おかしくなっちゃうぅぅ」 そこからはもうあまり記憶がない。 気がついたら2時間が経っていた。 その後の予約もあったようだったが、吉木は店に電話をして、５倍の金を出すから朝まで和樹を独占させてくれと交渉した。 この世界は金が全てだ。 店長は快く他の予約をキャンセルしてくれたようだ。もちろん、ちゃんと、和樹の取り分もきっちり５倍にするようにも伝えてある。ある意味、この店は俺をVIP扱いしてくれている。嘘をつかれることもないだろう。和樹の前で交渉しているのだから、店も和樹に嘘はつけない。和樹はまあまあの売れっ子のようだから。店としても手放したくはないだろう。 「よし君、よかったの？大丈夫なの？」 可愛らしいことを言ってくる。 「和樹は心配しなくていいよ。俺のわがままに付き合ってもらってるんだから」 「うん・・・。ありがと」 しおらしい和樹も好きだ。 「今日の女王様も新鮮だったな。綺麗だったよ」 「ほんと？なんだか、今日はよし君、いつもより情熱的だったから・・・」 「怖がらせちゃった？ごめんな」 「ううん、大丈夫。よし君のセックスはいつも気持ちいいから」 「参ったな」 「よし君、口の中切ってるでしょ。血の味がしたよ」 「あ、ごめん。気持ち悪かったよね・・・」 「ううん、大丈夫だけど、喧嘩でもしたの？ちょっと唇も腫れてるし」 「喧嘩・・・というか、俺が悪いんだ。むしゃくしゃして、人のものに手を出そうとしたから」 それを聞いて、和樹は目を丸くして驚いたようだった。 「よし君、何それ。変なの！」 「変？」 「変だよ。人のものってわかってて手を出すなんて、馬鹿みたい」 「お前、バッサリ言うな・・・」 「そう？僕は人のものには正直興味がないの。僕も誰のものでもないし、僕は僕のものだから」 「ははは。ぐさりとくるな・・・」 「ごめん・・・よし君怒った？」 確かに客に言うセリフじゃない。初めて素顔の和樹を見た気がした。 「いや、怒らないよ。俺は和樹の人生の一部を買ってるんだから」 「ごめんね。口滑らしちゃった」 「和樹はなんで俺に、欲しいものとか言わないの？時計とかバッグとか買って欲しいもの、一切言わないじゃない？」 「僕は、体をつなげる人も選びたいから。セックスは好きだけど、魂までは売りたくないの。だから、僕が欲しいのは、僕と繋がってくれる人の時間なの」 「お前、なんだかすごい男の子だったんだな」 「そう？よし君は大切にしてるものないの？」 「俺か・・・・」 そこまで言って、答えが出てこなかった。 「手放したくないって思うものは？」 そう聞かれて、一つだけ思った。 「絆かな・・・」 「ふ〜ん。じゃあ、それは死んでも手放したらダメだよ」 「今日は和樹の深いところまで沈んだみたいだな」 「じゃあ、もう一回僕の深いところにいく？」 そう言って、和樹は吉木の唇を舐めた。 「ああ、そうしようかお姫様」 そう言って朝まで抱き合った。