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霧島からの言葉

明石の体調も万全に戻った。 変わらずアニメは好調で、忙しさは変わらないが、あの倒れた時にみんなで分担させようと言う話にもなった。MG側から、正式に明石の仕事の補佐のスタッフが入った。明石も一人アルバイトを雇って、簡単なスケジュール管理や経費の計算、企画書の清書など任せるようにした。そんなこんなで、なんとなく3月の真ん中には少し明石にもスケジュール的な余裕ができていた。 久しぶりに、バーBitterに寄ってみた。 そこには霧島も一人で飲みに来ていた。 「おう、明石じゃないか。久しぶりだな。その後の活躍は伝え聞いているよ。この三月で学校の講師も辞めるんだってな」 霧島が言う。 霧島と最後に会ったのは、あのクリスマスの日だ。朝まで一緒にいてくれた。 もちろん何もしていない。ただ服を着たまま、優しく抱いていてくれただけだ。 そして、明け方別れ際に霧島に言われたのだ。 「憧れと愛は形が似ているだけで、同じではないんだよ。本物の愛が手に入れたければ、必死に手を伸ばせ」 今も心に残っている。だから吉木が倒れた時にもマンションに行く勇気が出た。 「霧島先生、ご無沙汰してます。はい。学校ももうそろそろいいかな・・・と思って。僕にも次のステップに上がる時が来た気がしたんです」 そう明石が言う。 「そうだな。明石もそろそろ次のステージなんだな。応援するよ」 そういつものダンディーな声でいう。 「では今日は私から一杯ご馳走しましょう」 マスターが言う。 シェーカーをスマートに振り出した。 目の前に美しいグリーンのカクテルが注がれた。 「アラウンドザ・ワールドです。カクテル言葉は、冒険」 「お前にぴったりだな・・・」 そう霧島が言った。

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