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二人でサイドカーを

吉木はなんだか軽い気持ちになっていた。 素直になったら、こんなにスッキリするものなのか・・・。 そんなことを考えていた。 バーBitterのドアを開ける。 そこには明石が先に来ていた。 今日は久しぶりにアルバイトに入った、シノブ君もいる。 「遅くなってごめんなさい明石先生。  今日は呼び出してしまって・・・」 「ううん、吉木君の呼び出しならいつでも」 そう言って優しい笑顔で笑う。 マスターが飲み物を聞いてきた。 「今日はサイドカーをお願いします。  明石先生の分と二つ」 そう伝えるとマスターはちょっと驚いた顔をしたが、すぐに優しく微笑んだ。 「かしこまりました」 「吉木君、僕もそれ飲むの?」 「はい、二人で飲みたいんです」 そう言う会話をしている間にマスターはシェイカーを振り、シノブ君が目の前にコースターを並べる。 冷えた、カクテルグラスが二つ並んだ。 そこに、琥珀色をしたサイドカーが注がれる。 「お待たせいたしました、サイドカーです。 カクテル言葉は "いつも二人で" でございますね。 吉木さん」 マスターが落ち着いた声で言う。 吉木は明石先生に向き合い、 「光さん、僕の気持ちです。 いつも二人でいましょう」 そう言うと、明石の顔がくちゃくちゃになっていく。 「それって・・・。未来もずっとって意味?」 そう涙を溜めて聞き返してくる。 「そうです。清水芳樹と明石光の未来の話です」 そう言うと、ぐいっと飲み干す。 明石が、涙をポロポロ流す。 「あ〜もう!!   せっかくかっこよく決めたかったのに!!」 そう言ったら、また明石が涙を流す。 吉木は明石のグラスのサイドカーを口に含んだ。 そしてそのまま明石の口へキスをして液体を飲ませる。 思わず、マスターとシノブは目線を外す。 「ええええぇぇぇぇー」 そう言って、明石が顔を真っ赤にする。 「一緒に飲んじゃったから、Yesって意味ですよね?   光さん?」 その問いかけに、明石は、ただただ頷くのであった。

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