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第6話

「さて、用事は終わったし、元の世界に戻ろうかな」 ギレンを連れ回した後に、マンションに戻ると、タイラはクローゼットを開けた。 赤茶の髪に紫の瞳に人工的に変えられたが、こんな色の取り合わせは神官騎士のようだった。 何色でもいいとは言ったが、吐き気がしそうだとギレンは顔を曇らせた。 「目の色、気に入らなかった?」 「別になんでもいい」 ぼそりと呟いてため息を漏らす。 元の色であっても、奴隷であれば屋敷から出ないだろうから、人目も気にならない。 何故色を変えたのか、真意がわからないというのが率直な感想である。 まあ、白髪と赤い瞳じゃ仕事をさせるのにも、気持ちが悪いとかだろうな。 差別が許せないとかいっていても、そんなのは口先だけの正義感だ。 「ここに次元の扉を開いてあるから、ココとカリミエルへ行き来が自由なんだよ。だから、故郷に返してもらうとかいう願いなんて要らなかったんだ。面倒事、頼まれ続けたくなくてね」 おいでと言って、タイラは手を伸ばしてギレンの腕を引いた。 「君を倒しても、根本から正さなきゃ、第2の魔神がうまれるだけだよ」 「な、なんだ」 ギレンの目の前が歪み、ホコリっぽい部屋へと投げ出された。 「面倒だけどね。だから、僕はここに残ることを選んだんだ」 ケホケホと咳き込むギレンにタイラは大丈夫かと尋ねて、ぽんと肩を叩いた。 「まずは、生贄制度とかをなんとかしなくちゃ」 ギレンは眉を軽く寄せて、吐き捨てるように言う。 「そんなもん。この国を皆殺しにすりゃあ、何とかなるだろ」 「平和的な解決方法を考えるつもりだよ」 ギレンはちらっとタイラの頭を見下ろして、うまくいくわけないだろと呟いて納戸の扉を開いた。 「……支配するしか、新しい世界は作れねえよ」

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