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第10章:長谷部

俺は 業務時間だということを忘れ しばらく弥生先生を抱きしめていた。 この人といずれ心を通わせて 抱き合うことが出来ればと 淡い期待はしていたが、 まさか こんな風に なってしまうとは思ってもいなかった。 柔らかいベッドで、 優しく、 甘やかせたい、 そう思っていたのに。 タイミングを逃し、 まだ重なっていた下半身。 「そろそろ離しましょうか。」 と尋ねた。 すると、 「いや、このままで」 と弥生先生は答え、 長袖のトレーナーとTシャツを脱ぎ またゆっくりと 体を上下に動かした。 そして僕の頭を左手でグッと掴んだ。 「長谷部、僕をよく見ろ。 君はさっき僕が目を瞑っていろと言っても、 僕の顔ばかり見ていただろ? なら、体もちゃんと見て現実を知った方がいい。」 そう言うと 脚を大きくM字に広げ、 その真ん中でそそり勃つそれを 体の動きと逆に合わせ右手で扱き始めた。 「アァ・・・アン・・・いいぃ・・・」 さっきは抑えていたのか 一切出していなかった 低い喘ぎ声が 耳を通り、胸を内側をくすぐる。 弥生先生は分かっていない。 俺が 弥生先生の男の体に 前から欲情していたことを。 その低い声ですら、 愛しい声だということを。 そして、 こんな風にしてまで 俺を突き放そうとする弥生先生を ただただいじらしいと思っていることを。 俺が弥生先生の頭を引き寄せ 軽くキスをすると、 先生は瞳を震わせた。 その後諦めたように深くため息をつくと そのまま迫るように その続きを求めてくれた。 滑らかな舌を使い 唾をたっぷり垂らし 淫らな音を大きく立てる 弥生先生のキス。 気持ち良くて 頭が真っ白になりそうだ。 「・・・先生・・・あの・・・俺、 いきそうなんで・・・」 そう言うと、 「・・・そうか」 と言い、 体を垂直に伸ばした。 そして体と右手の速度を早めると同時に、 左手で自分の乳首をいじり始めた。 なんて言う光景なんだろう・・・。 今自分の目の前に起こっていることに 頭では戸惑いながらも 体は素直に反応してしまう。 俺がイったのを確認すると同時に、 先生もまた果てた。 2回も放たれた液で 大変なことになっていた俺のスクラブを見て、 「・・・悪い。」 と弥生先生は、 口角を少し上げた。 笑ったような顔を初めて見た。 俺は胸がいっぱいになり、 思わずまた強く先生を抱きしめた。 「おい・・・僕の体につく・・・」 「後で、ちゃんと拭きますから。」 どんな形であれ 少しずつ先生のこんな顔を 引き出せていけたらな、と思った。 「・・・もう流石に行かなきゃ、だな。」 「・・・もう少しだけ。」 「・・・ああ。」 その言葉と同時に、 背中に 腕と掌の温かさを感じた。 「好きですよ。」 俺の言葉に弥生先生は やはり何も答えてくれなかったけれど なんとなく 一番最初の告白よりも 伝わっている気がした。

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