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第15章:弥生
洗濯物などで散らかった
ベッドルームに入るなり
長谷部は履いていたズボンを放り投げ
ボクサーパンツ一丁で
ベッドの中心に座った。
「先生も。」
そう言われ、長谷部の前で、
同じ格好になり、
そのまま隣にちょこんと座る。
すると、長谷部は僕の肩に手をかけ、
ゆっくりと僕の体を倒し、
その上に跨った。
雨で湿った僕の髪の毛を撫で回しながら
先ずは額へ、そして、耳へ、
その後首筋へと唇を動かす。
柔らかい唇や舌が僕の皮膚に触れるたびに、
くすぐったい感覚の先にある
快楽を感じて
体がピクピクと動く。
長谷部の口元が胸の近くに来た時は、
僕の体はそれを期待しすぎて、
触れられる前に
大きく身震いした。
「胸、好きなんですね。」
「・・・ん。」
「この間も
自分で触ってましたもんね。」
「え?」
「無意識ですか?」
自分が長谷部の前でしたことを思い出し、
急にこしょばくなった。
「あれ、めちゃくちゃエロかったですよ。」
そう言い長谷部は僕を見つめたまま、
硬くなった
小さな粒に
舌を滑らせる。
「・・・ぁあん・・・」
声が・・・漏れてしまう。
舌先でチロチロと舐め回されたり、
前歯で強弱をつけながら甘噛みされたり、
唇で何度も吸われたり、
口に入れていないもう一つの方も、
指だけでたくさんの刺激を与えられて・・・
全てが想像したものよりも、
ずっとずっとリアルで、
苦しいと思うほど
気持ち良かった。
少しすると長谷部は体を起こし
僕の下半身の方へと体を動かした。
そしてゆっくりと確認するかのように
僕の下着を脱がして行った。
「この間も思ったんですけど、
全然毛ないですよね。
処理してるんですか?」
「・・・元からなんだ。」
「へぇ・・・可愛いですね。」
可愛い、なんて
もうすぐ40の僕に似つかない言葉を言われ、
びっくりした。
「バカにしてるんだろう?」
と聞くと
「バカになんてしてないですよ。」
と
長谷部は
本来、毛が多く生えていなければならないところを
さすりながら
僕の反り返ったものを眺めた。
「先、濡れてますね。」
「あ・・・ん・・・。」
すると、長谷部は
さっき僕の上半身にしたように
それを口で触れた。
「君は、そんなことしなくたっていいんだ。」
僕は思わず
そう言った。
「なんでですか?」
長谷部は、僕のものに
優しくキスを繰り返しながら
訊ねた。
「なんでって・・・さすがに・・・気持ち悪いだろう?」
「またそんなこと言って。
ただ、初めてなんで先生みたいに
上手に出来るか分からないですけど。」
笑いながらそう言うと、
全てを口に含んだ。
上手とか、下手とか、
そう言う次元では無かった。
何をされても、
もう、
ただ、
即イッてしまいそうだった。
「長谷部・・・もぅ・・・」
僕がそう言っても、
長谷部は止めることはせず
そのなんとも雑な咥え方が
やけに、よかった。
結局僕は
そのままされるがままになり
恥ずかしいくらいに
早く
長谷部の口の中で達してしまった。
長谷部は躊躇もせずそれを飲み込むと、
「やっぱり苦いものなんですね。」
なんて平然と言うので、
僕は唖然としてしまった。
そして長谷部は、僕の膝を曲げ、
その後ろに
唇をずらした。
僕はもう居た堪れなくなって
「シャワー浴びてないから!」
と色気のないことを言うと、
長谷部は少し残念そうにしたが、
何やらいいことを考えたと言う様子で、
「じゃ、ちょうどいいので、今からシャワー浴びましょう。」
と言った。
「え、あ、・・・うん。」
僕がそう返事をすると、
そのまま僕を持ち上げ、
ベッドルームから繋がる
風呂場まで僕を担いだ。
41度くらいの
あつすぎずぬるすぎないシャワーの湯が
上から落ちてくる。
長谷部は、
背後から
手につけたソープの泡で
僕の体を上から下へと洗っていく。
ただ、
普通に洗っているだけなのに、
僕は敏感に反応してしまう。
へそあたりまで来た時には
もう僕の下半身は
完全復帰していて、
同じ状態の長谷部のそれも、
僕の尻の上の方に当たっていた。
長谷部は
普通に足の爪先まで僕を洗うと、
自分の体もささっと洗い、
「早くあがりましょう。」
と言った。
正直ここで、何かが行われるかもと思っていたので
拍子抜けだった。
甘やかされるように
タオルで体を拭かれながら、
ベッドに戻ると、
「今日はベッドで抱きたいんです。
シャワーではまた今度。」
とまるで僕の心を読んだかのように言うので
恥ずかしかった。
先ほどの体勢に戻ると、
長谷部は
待ち焦がれていたように僕の後ろを
舌で舐め始めた。
なんでこんなにこの男は抵抗がないんだ
・・・と思いながらも、
勝手に腰が揺れてしまうほど良かった。
長谷部にもそれが伝わっているようで、
僕の腰を手で押さえつけながら、
しつこく舐め続けた。
しばらくすると
長谷部は急に立ち上がり
洗面所の方へ行き
土産でもらったような
小さなアルガンオイルの瓶を持って
また戻ってきた。
「これを使って
指、入れてもいい?」
いつもの敬語が
タメ口に変わっていることに気づいて
なんだか小っ恥ずかしい気持ちになりながら
僕は頷いた。
一本、二本と、
長谷部の指は慎重に僕の体の中に入ってきた。
僕の喘ぐ声と
クチャクチャといらやしい音だけが
部屋で響く中、
終始長谷部は僕の顔を見つめ、
僕の反応を伺っていた。
「前立腺はここら辺か。」
そんな風に
探りながら言う口調が
普段の医者っぽくって、
それがなんだか微笑ましくて
長谷部と無性にキスをしたいと思った。
その意思表示をするように
大きく腕を広げると
長谷部は理解したように僕の元へと体をよこした。
激しいのに、柔らかい
そんなキスをした後、
長谷部は
ベッドサイドにあるキャビネットから
コンドームの箱を取り出し、
慣れたように素早くそれをつけた。
「入れるよ。」
そう耳元で囁くと
正常位で、ゆっくりと
入ってきた。
一旦奥まで
全て入ると、
長谷部は
僕の顔を見て
「好きですよ。」
と言った。
敬語に戻っていて
思わず笑ってしまった。
長谷部はそんな僕に
目を細め微笑み返すと、
ゆっくりと
腰を動かし始めた。
「アァぁ・・・アン、ん、、ァン」
ここ数年ずっとしていたものとは
全く違う行為をしているのだと
認識してしまうほど
ただの性処理ではなく
僕の好きなところを探るような
思いやりのある動きだけが続く。
体が気持ちいのはもちろんのこと、
僕は先ほどからずっと
それ以上の何かを
胸の中で感ていた。
そんな溢れ出して止まらない感情が
そっと
口から
こぼれ落ちる。
「好きだ」
長谷部はそれを聞いた瞬間、
動きを止め僕の瞳をじっと見つめた。
そして愛しげに頭を撫で、
ギュッと抱きしめると、
どんどん激しく腰を動かしていった。
下から眺める長谷部のしかめっていく表情は
とてもエロチックだ。
長谷部は僕の前も扱き始めて、
後ろも前も責められながら
僕は、
長谷部とちょうど同じタイミングで
意識が遠くなるくらいのクライマックスを迎えた。
その後、荒い息を整えながら
長谷部は横になり
僕を包み込みように抱きしめた。
男らしい腕に
守られるように抱かれている自分に対して
胸がいっぱいになり
目頭が熱くなった。
僕も長谷部を抱き返すと、
長谷部は僕の首元にそっとキスをした。
幸せだな・・・
と思うと
涙がポツリポツリと疎雨のように
こぼれ落ちた。
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