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…見ていると、猫はしっぽを揺らし、ごろんと横になった。 ただ寝転びたかっただけらしい。 そのまま『おらおら。来いよ』と要求しているみたいにこっちに視線を送ってくる。 「…猫の方はもっと触ってほしいみたいですね」 「…っ、う、うむ…。じゃあ、もういっかい…」 こわごわ、もう一度手袋越しにその背中の毛並みを撫でた。 …それでも猫が動かずにじっとしているのを見て…ぱあああと顔を明るくした。 「…わ、にゃん、にゃんこが、オレ…!」 興奮のままさっくんから離れ、今度は手袋なしで触ってみようと意気込み、裸の手でそっと背中に触れてみる。 「…っ、ふわ、ふわ…!」 美しい毛並みのやわらかさを肌で直接実感し、まだ行ける気がする!と自信をつけて今度は頭に触れた。 そろーりと撫でると…ごろごろと喉を鳴らして目を細める猫。 「…さわれ、た…」 感動して、ぽーっと触った手を見つめた。 両手を広げて差し出せば、自分からオレに近寄ってくる。 ぎゅって抱きかかえれば体温があった。 まるで本当に生きてるみたいに、…あったかい。 「ふぁああ…やわらかい…」 嬉しくて、ずっと触りたいと思ってた猫をだっこできるのが幸せで、頬をすりすりした。 猫も嫌がらないし、…逆にされるがままで、全然もう怖くなんてなかった。 しっぽを触っても怒らず、むしろ手に擦りつけてくる。 「お手」と見よう見まねでやってみれば、ちょん、とちっちゃな手が乗ってきた。 「…っ!!うわああ…!すごい!かわいい…!!オレ、にゃんこと仲良くなれたぞ!」 さっくん見てた?!みた?!と後ろを振り向くと、 「はい。…猫耳と小さなお尻をふりふり動かしながら、緊張の面持ちで一生懸命に触ろうと試みていらっしゃる御姿…とても健気で愛らしかったです…」 いつの間にかカメラを構えていたさっくんが、何故か照れたように頬を染め…心臓の辺りに手を当てていた。 「その後もあどけなく、まるで太陽のような笑顔で遊んでいらっしゃったので、…ぎゅんぎゅん胸をキューピットの矢で打たれ、あまりの尊さに悶えながら拝見しておりました…」 「…っ、だ、だから詳しく言い過ぎた…!しかもすぐはぁはぁするな…!」 カメラを置き、ぎゅっと抱き付いてきたさっくんの掠れた声が耳元で囁き、体温が密着する。

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