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第33話

翌日の土曜日、ホテル帰りに俺たちは朝ごはんを食べるため喫茶店に入った。 メニューを注文し、運ばれるのを待ってる間、城崎はテーブルに肘をついてうっとりとした顔で俺を見つめていた。 「本当に俺の先輩になったんですね…♡」 「別におまえのってわけじゃ…」 「は?浮気は許しませんよ。」 「いや、しねーって。怖い。顔が怖い。」 さっきまでの表情が嘘かのように不機嫌になった城崎。 情緒不安定かよ。 「そういえば、次はいいホテルでって言ってたのに結局やっすいビジホだったな。」 「昨日のは仕方ないでしょ。先輩千鳥足だったじゃないですか。それに、初めてはまだなんで。」 「じゃあそんときに返事すりゃよかったな。おまえロマンチストだし。」 「昨日でよかったんです。本当に死ぬほど嬉しかったですから。」 「どんだけだよ(笑)」 「今もまだ夢が現実か分かってないくらいには。」 相変わらずストレートに俺に想いを伝える城崎に、俺は赤面した。 先に珈琲が運ばれてきて、城崎は俺にシロップとシュガーとミルクを渡す。 「すみません、ミルクもう少しもらえますか?」 「あっ…、はい!」 俺はいつもミルク多めだから、二つ分じゃ足りないだろうと城崎がウェイトレスにミルクを頼む。 ウェイトレスの女の子は高校生か大学生くらいだろうか。 城崎を見て頬を赤く染めてミルクを取りに戻っていった。 「なぁ、今の女の子、絶対お前に惚れた。」 「嫉妬ですか?」 「別に〜。」 「俺は先輩しか見えてませんよ。」 「だから盲目すぎるんだって。」 まだ城崎に向けられる熱い視線に慣れない。 本当に本当にイケメンすぎるんだよ。目に毒。 届けられたミルクを俺に渡してくる。 「城崎、作って。角砂糖じゃないから分量わかんない。」 「ふふ。いいですよ。」 「いいよなぁ、城崎はブラックが飲めて。」 「先輩の甘党は萌え要素なので、是非そのままで。」 城崎は「はい、どうぞ。」と出来上がった珈琲を俺に渡す。 いつも通り飲みやすくて顔を綻ばせると、城崎は満足そうに笑った。 そのあと俺にはフレンチトースト、城崎にはオムレツとサラダが運ばれてきて、ゆっくりとモーニングを楽しんだ。

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