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第49話
ホテルの前で立ち止まる。
え、ここかなり高いよ?
城崎、マジで良いホテル選んでるじゃん。
俺が付き合ってる時奮発して予約したとこより普通に良いとこで、緊張と嬉しさとショックが混ざって複雑な感情になる。
「先輩?」
「い、いくら?俺も出す…。」
「もう払ってるんで、気にしないでください。」
「は?!でもお前にそんなことしてもらう義理…」
「恋人でしょう?」
相変わらず俺に有無を言わせない城崎。
ホテルに入ると待ち受けるのは広いロビー。
カ、カップル多いな…。
「先輩、行きましょう?」
「お…、おう……。」
ホテルスタッフが先導し、俺たちは20階に案内された。
城崎は貰ったカードキーでドアを開ける。
「ひ、広くね?普通の部屋じゃねぇの?」
「ジュニアスイートです。」
「え、え、待って?本当大丈夫?」
「素敵な夜にしましょうね、先輩。」
低くて空気を含んだ甘い城崎の声が俺の耳を刺激し、ゾクゾクっと体が震える。
こいつの声、本当に腰にクる。
気を紛らわせるように部屋を散策する。
風呂…。ホテルの割には広い。
というか脱衣所と風呂がガラス張りなのにラブホみたいな安っぽさはない。
肝心なベッドは……。
「キング……」
寝室に存在感たっぷりのキングサイズベッド。
俺、今日ここで城崎と……。
「先輩のえっち。」
「…?!」
「ふふ、嘘です。でも、そわそわ落ち着きのない先輩も可愛いですね。」
チュッ…とリップ音をたてて離れていく城崎の唇。
甘…、めちゃくちゃ甘い。
いつもに増して城崎からキラキラが飛んでいる気がする。
「60平米くらいある…?」
「ありますね。」
「緊張する…。」
「俺が緊張解してあげます。でもその前に、夕食頼みましょう?」
内線でフロントにルームサービスを頼み、俺たちは束の間のディナーを楽しんだ。
ラウンジ使えるらしいけど、今日は必要なさそう。
だって俺は今から、城崎に抱かれるんだから。
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