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第53話

城崎は(とろ)けきった俺に声をかけて、先に上がっていった。 きっと心の準備をしてから来いってことなんだと思う。 さっきまで解されていた肛門に手をやると、そこは緩んでいて簡単に俺の指一本飲み込んだ。 自分で入れたところで城崎がしてくれたような快感は得られず、少し不安になる。 風呂から上がると、脱衣所の鏡に裸の俺が映る。 いつもなら陥没してるはずの乳首は綺麗な桃色をしていて、城崎に起こされてツンと張っている。 心なしかいつもより水分量も多く、艶々の肌。 最近城崎に触れられること多かったからか? 好きな人と触れ合うと肌綺麗になるってマジなんだ…。 ふわふわのバスローブに身を包む。 「どうせ脱ぐし…、これは…いっか……。」 持ってきた下ろしたてのパンツは履かずに、裸にバスローブだけで脱衣所を出る。 ベッドルームに行くと、同じバスローブを見に纏った城崎が窓際で夜景を見下ろしていた。 横顔もすっげぇかっこいい…。 「城崎」 「もう、準備できました?」 「うん。」 城崎は俺を手招きする。 招かれるまま城崎の方へ行くと、城崎の前に誘導されて後ろから抱きしめられる。 この体勢、包まれてるみたいで安心するから好きだ。 「緊張してるでしょ、先輩。体が硬い。」 「うん…。」 「わぁ。先輩が素直だ。」 「悪いかよ…?」 「ううん。可愛いです。」 俺はこんなに緊張してるのに、城崎はいつも通りだ。 悔しくてそっぽ向くと、城崎は俺の耳を自分の胸元に抱き寄せる。 「俺もこんなに緊張してます。」 バスローブの前合わせをずらし、俺の耳が城崎の胸元に直接当たる。 城崎の心臓はバクバク大きく鼓動を打ち、それが何故かひどく俺を安心させた。 「夜景見たら落ち着くかなーって思って、先輩待ってる間ここで眺めてたんですけど、余計緊張しました。」 「ははっ。」 「先輩、いいですか?」 「聞かなくてもわかるだろ。」 そう答えると、城崎は俺を自分の方へ向け、目を合わせて俺に伝える。 「先輩の全部、俺にください。」 少し震えた城崎の声。 俺たちはどちらからともなく唇を重ねた。

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