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第76話

次に手を取ったのは、一番読みやすそうな漫画っぽい表紙の薄い本。 薄いし、漫画だし、綺麗な絵だし、すぐ読み終わるだろと思った自分がバカだった。 「うわ…、おぉ……、えっ、…………うわぁ」 絵は綺麗だけど内容がエグい。 男同士のR18マンガ。終始ほとんどセックス。 最近の漫画ってこんな露骨にチンコ描くんだ…。 挿れられてグズグズになって()がってる受け。 挿れている方、ちょっと雰囲気というか、性格というか、なんか城崎に似てる……かも……。 というか、この漫画自体、先輩と後輩サラリーマンを題材にしてて何となく境遇が似てる。 「………ぁ、もう……」 いつのまにか漫画のキャラクターを俺と城崎に置き換えて読んでしまっていた。 自分でもこんなことして虚しい、馬鹿だって思うのに。 城崎の声を想像してゾクゾクと快感を得る。 俺の右手は自然とペニスに伸びていて、漫画の通りに下着越しにそれを扱いた。 「あっ…城崎っ…、城崎……」 つい名前を呼んでしまう。 女の子座りして、足りない刺激に床に足を擦り付けた。 「先輩、一人でこんな汚しちゃったんですか?」 「うぁ…ごめんっ…ごめんなさいっ…」 「俺が手伝ってあげますね。」 どうしよう。 城崎の幻聴聞こえるようになっちゃった。 ボーッとしてオナニーしている自分の手を見ていると、俺の手に俺じゃない誰かの手が重なってギョッとして振り返った。 「えっ、な、なんで?!何で城崎いるの?!」 「なんでって、今日ランチの時言ったじゃないですか。今日泊まっていいですか?って。そしたら先輩、いいよーってスペアキーくれたじゃないですか。」 「嘘?!」 覚えてない。 というか、ランチの時はソワソワしすぎて城崎の話も上の空だったのだ。 ど、どうしよう?! 机に広げまくったゲイ雑誌や漫画を見て冷や汗が垂れる。 「先輩、どうしたんですか?これ。」 「こ、これは…そのっ…!」 「自分が男が好きだと気づいてしまった中坊がとりあえず買い漁ったみたいなラインナップでちょっと笑えますね。これは?アナルセックス入門編…、こっちはゲイ雑誌…、今読んでるのはBL本ですか。」 「やめて…、見ないで、城崎っ!」 「とりあえず、一回出してから色々聞きましょうか。」 「あっ!ま、待って…!あっ、クッッ……!!!」 ドクドクッと脈打ち、俺は城崎の(てのひら)に白濁を吐き出した。

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