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第78話
「ほら、先輩。次の台詞は先輩ですよ?」
「……ぃやっ!」
「先輩、ちゃんと読んで。先輩が先にし始めたんでしょ?俺のいないとこで。」
「うぅっ…」
城崎は意地悪だ。
気持ち程度の抵抗も虚しく、漫画のシチュエーション通りに動き、読み上げをさせられている俺。
もちろん城崎が俺に他の男の名前を呼ばせるわけもなく、名前だけはお互いの呼び方に変えてはいるが。
今からR18のシーンに突入するのだが、漫画の受け役の台詞が恥ずかしすぎて言えずに止まっている。
「先輩。」
「やだ!絶対やだ!」
「何でですか?」
「恥ずかしい!!」
もし酔っていたら、あるいは実際にこういうシチュエーションになったら言わない可能性がないこともない。
でも俺は今シラフだ。
しかも別に城崎にキスとか前戯されて思考飛んでるわけでもない。なんならめちゃくちゃクリアだ。
「先輩が読んでくれなきゃ先に進めないんですけど。」
「じゃあ進まなくていい!」
「ふーん。じゃあ帰りますね、俺。」
「城崎?!」
城崎は俺の上から離れ、鞄を持って部屋を出て行った。
このままじゃ本当に帰ってしまう。
せっかく仕事終わりに城崎に会えたのに。
嫌だ。帰って欲しくない…。
「城崎っ…、えっちして!」
「………っ?!」
「俺の身体、全部城崎のモノにしてっ!」
「先輩っ……」
漫画の中の受け役の台詞を叫ぶ。
驚いて振り返った城崎は、鞄を投げ捨て、再び俺に向かってダイブした。
身体が布団に沈んで、城崎の激しいキスが俺を襲う。
「先輩っ、先輩…!」
「ぁっん、城崎ッ…!ふっ…ぅん……」
お互いの舌が絡まって、吸われたり喰まれたりして体全体に快感が走る。
快感は全身を巡って、下腹部にどんどん熱が溜まっていった。
「淫乱ですね、先輩。」
「違う…、俺そんなんじゃ…!」
「違いますよ、先輩。ちゃんと読んで?」
まだ続いてたのかよ?!
てか、こんな台詞言えるわけ…。
「先輩、早く。続きシたい。」
「〜〜〜!!お、俺は…淫乱です……!だからもっといっぱいぐちゃぐちゃにしてっ………」
「先輩、よくできましたね。」
城崎は愛おしそうに俺に何度もキスをして、右手は俺の下腹部に到達した。
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