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第82話

翌日は俺の家から一緒に出社した。 満員電車に揺られながら重だるい腰に手を当てる。 「だりぃ……。」 「だから言ったじゃないですか。」 「ヒリヒリするし…。」 「またしばらく俺があげた薬塗っといてください。」 初めてシた後も、切れたケツが痛くてヒィヒィ言ってたら城崎が薬をくれた。 なんかゲイ仲間で医者の友達がいるらしく、その人に譲ってもらったそうだ。 しばらく塗ってたらすぐに治ったから、今回もこれに世話になることになりそうだ。 都心の駅に着いてプシューッと扉が開く。 人がたくさん出入りして、駅に着く前より人が増えた。 ギュウウっと押し入るように人が入り、城崎は俺を扉側にして守るように壁になった。 「し、城崎。俺いつも乗ってて慣れてるし、大丈夫。」 「先輩が良くても、俺が嫌です。」 「この方が辛いんだけど…。」 所謂(いわゆる)壁ドンってやつ。 目の前には城崎の胸板があるし、目線を上にすれば端正な城崎の顔、横に向けばがっしりした腕があってどこに目を向ければいいかわからない。 あと5駅は人減らないし、むしろ増えていく一方だ。 「ふっ……ぅ……」 「ごめんなさい。先輩、大丈夫?」 「だ…いじょぶ……」 隙間ないくらい人が入ってきて、さすがの城崎も押される。 城崎の膝が俺の脚に間に入り込み、腹より下が城崎と密着する。 電車が大きく揺れるたび、時々城崎の膝が俺の股間を刺激して変な声が出てしまう。 出勤前からこんなの無理…! 勃ちそうな自分も嫌だ。 「あとちょっと、耐えてくださいね…」 「う、動かないで…」 「…………善処します。」 密着して城崎の匂いが鼻を掠め、嫌でも意識してしまう。 こんなのでドキドキしてんの、俺乙女かよ…。 (しわ)にならないように加減して城崎のシャツを握った。 電車がカーブして城崎の身体が俺に寄りかかった時、少し硬くなった城崎の下腹部が俺の腹に触れた。 「おい……。何勃ててんだよ……。」 「すみません。なんか、先輩と痴漢プレイしてるみたいで興奮しちゃいました…。」 「ば、馬鹿っ!!!」 なんて事言うんだこいつ! ドキドキして損した!! 社の最寄駅に着いて、俺は急いで城崎から距離を取って一人で出勤した。 着いた瞬間、顔を真っ赤にした俺が同僚みんなにイジられたのは城崎には秘密だ。

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