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第85話
出張を言い渡されてから早三週間。
週末は土日どちらかは城崎が家に来ていた。
ただ一緒にDVDを見て添い寝するだけの日もあれば、たくさんキスする日もある。
アナルセックスはあれからしていない。
それどころか触り合いすらも最近していない。
城崎が気を遣ってあまり俺に手を出してこないのだ。
何に気を遣ってるのかは知らないが…。
俺は俺で最近あんなにも満たされていた性生活が途端に終わってしまったものだから、少し溜まってきていたりする。
だから今日こそは……。
「城崎……」
「なんですか?ご飯ならもうすぐ出来ますよ。」
「うん…」
日曜の真っ昼間。
俺のためにキッチンで昼ごはんを作ってくれてる城崎。
俺は変なプライドが邪魔して、はっきり言葉にできず口籠もる。
「どうしたんですか?なんか元気ないですよ。」
「うん…。」
「最近先輩食が細いから心配です。これならさっぱり系だし食べれますか?」
「ありがとう。いただきます。」
ダイニングに並べられた冷やし中華。
もう5月も終わりかけ、暑くなってきたこの時期に嬉しい。
冷やし中華は好きだし、城崎の料理は勿論美味いんだけど…。
なんか、今日は寒いんだよな……。
「先輩、もういらない?」
「ごめん…、なんか食欲わかなくて…。」
「そっか。じゃあ俺残り片付けますね。」
城崎は俺の残してしまった分までさっと食べ終えた。
ここ一週間くらい何故か食欲がわかない。
城崎の言う通り、周りから見ても分かるくらい食が細くなったと思う。
体はめちゃくちゃ怠いってわけでもないんだけどな。
いや、でもここ2日くらい結構怠いか?
そんなことより、城崎と触れ合いたい気持ちの方が強かった。
城崎が食器を洗い終え、ソファに座った。
「城崎…っ」
「わっ…、どうしたんですか?」
「んー……、城崎……」
城崎を押し倒して、強引に唇を合わせる。
きっと飯食ったばかりでそんな気分じゃないだろうに、城崎は俺が落ちないように腰を支えてくれた。
「城崎…、好き…。」
「せ、先輩?!」
「んっ……ん…」
セックスしたい。
その一言が言えなくて、行動で示そうと舌を捻じ込むと、城崎は驚いた顔をして俺を引き離した。
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