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第112話

城崎とランチをしに社外に出る。 会社を出ると少しだけたかが外れ、城崎との距離感が近くなる。 手が触れるか触れないか、もどかしい距離で隣を歩く。 ちらちら城崎の方を見ていると目が合い、手をぎゅっと握られた。 「ちょ、見られたらどうすんだよ…。」 「なんとかなりますよ。」 「でも……」 「俺が繋ぎたいんです。駄目?」 俺から強請ったようなものなのに、城崎は自分がそうしたかったかのように振る舞ってくれる。 俺のプライドとか、そういうの気にしてくれてるのは嬉しいけど、城崎にばかり無理させてないか不安になる。 「俺も……、繋ぎたかったよ…?」 「ふふっ…、先輩、好き。」 「恥ずかしいから外でそういうのやめて…。」 嬉しそうな城崎と、顔を真っ赤に染めた俺。 少し顔の火照りが落ち着いてからレストランに入った。 「いらっしゃいませ。」 「日替わり二つで。」 「かしこまりました。」 席について日替わりランチを注文する。 今日のメインは何かな〜と珈琲を飲みながらワクワクして待っていると、城崎がスケジュール帳を開いた。 「そういえば、昨日注文したアレ、来週中頃くらいに届くみたいです。」 「ブフッ……!!」 思わず珈琲を吹き出した。 アレって、多分玩具(おもちゃ)のこと。 多分というか、注文したといえばそれしかない。 「今週したかったなぁ。速達にすればよかった。」 「俺は心の準備がまだできてない。」 「玩具で()がる先輩もそれはそれで興奮しちゃいますね♡あー……早く見たい……。」 「見たいってなんだよ……。」 「玩具でアンアン言ってる先輩を。」 「ゲホッ!ゴホゴホッ…!!」 こいつ、本当外でも構わずヤベェこと言うな。 俺が咽せすぎて周りからチラチラ見られてしまった。 誰が白昼堂々こんな下ネタ話してると思うだろうか? しかもこんな国宝級のイケメンが。 「そろそろ先輩もドライオーガズム経験できそうですもんね。」 「何だそれ。」 「射精せずにイクんですよ。めちゃくちゃ気持ちいいらしいですよ。普通にイク10倍の快感だとか?」 「怖ぇよ。」 てか射精せずにイクって女でもあるまいし。 男だから出すもんついてるし、イク時は出る。 現に前寸止めプレイされた時も、根本握られて射精できなくてイケそうでイケなかったじゃないか。 あの感覚は気持ちいいけどイクのとは違うと思う。 最終的にはめちゃくちゃ出してイッたわけだし。 「俺は無理だよ、多分。」 「何がです?」 「そのドライオーガズムっての。無理。できない。」 「なんで?先輩素質あるでしょ、絶対。」 「そんな素質いらねーし、そもそもやり方分かんねーもん。」 「そこは俺の腕の見せ所でしょ。」 城崎は謎のドヤ顔をかました。 そんな話をしてるうちに日替わりランチが運ばれ、俺たちは早々に食事を済ませて時間内に社に戻った。

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