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第113話

翌週の週末、インターホンのモニター越しにはとびっきりの笑顔で俺の応答を待つ城崎が立っていた。 「先輩〜♡」 「やめろって…」 ドアを開けるなり抱きつかれ、少し抵抗する。 だって今日は届いたアレを使う予定だし、ここで素直に対応したら楽しみにしてるとか思われそうで嫌。 「あれ?先輩、ご機嫌斜め?」 「別に…。」 「これ、持ってきたよ?」 城崎は右腕に持った茶色い紙袋を掲げる。 揺れるたびガサゴソ鳴ってて、何個か入ってるんだろうなって容易に想像できた。 城崎はまずはご飯だと言って、ソファの隣に紙袋を置いてキッチンへ行ってしまった。 ササっと昼ごはんを作ってくれたが、俺はそわそわしてそれどころじゃなかった。 「先輩、食欲ない?」 「………いや、」 「あ、玩具気になります?早く遊びたいんですね♪」 「違ぇよ…っ!!」 「素直じゃないなぁ。別に玩具が気になるなんて恥ずかしいことじゃないですよ?」 「…………」 「現にアダルトグッズなんて色んな種類あるじゃないですか。需要がなけりゃ供給があるはずないんですよね。」 言われてみればそうだけど…。 でも俺は今からアブノーマルな玩具使おうとしてるんだぞ?? 恥ずかしいし、思春期のガキみたいに玩具に興味津々ってことをバレたくない。 もうバレてそうだけど……。 「じゃあご飯は後にしましょう。チンしたら食べれますしね。」 「あ……。」 城崎は俺の分も皿を下げてラップをして冷蔵庫に昼ごはんを閉まった。 ソファに座り、ダイニングから動かない俺を振り返って手招きをする。 「おいで、先輩。」 「…………。」 城崎に呼ばれたから渋々ソファの方へ向かう。 多分今の俺はめちゃくちゃ期待した顔してると思う。 そんな顔を城崎に見られたくなくて、俺は顔を伏せたまま城崎に近づいた。 城崎はいつもみたいに無理矢理俺の顔を見たりしようとはせず、自分の膝の上に俺を座らせた。 「先輩、どれから使います?一応、初心者用ばかり買い揃えたんですけど…」 「……っ」 城崎は机の上にアダルトグッズを並べていく。 そこには前に買ったエネマグラや乳首に使う玩具以外にも、輪っかみたいなものやオナホっぽいのもある。 ローションも何種類かあって、ボトルを並べられた。 「これ、前買ってない…。」 「あぁ、これ。コックリングです。先輩射精するの早いから追加で買っちゃいました。」 「悪かったな、早漏で。」 「気持ちよくなってくれてる証拠なので嬉しいですよ?ただ早くイキすぎたら先輩が辛いかなって。」 城崎は俺をぎゅぅっと力強く抱きしめる。 別に俺早漏じゃねぇし…。 城崎とすんのは気持ち良すぎて我慢できないことが多いだけだ。

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