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第120話

(ぬる)くなっちゃいましたね。」 城崎の手の中でイッた後、城崎は手を洗うついでに俺の服を取ってきて着せてくれた。 賢者タイムでボーッとする俺に何することもなく、隣でビールを飲む城崎。 女の子にはわからないこの虚無感。 城崎が男だからこそ理解してくれて、俺を放置してくれている。 過去に付き合ってた子で、セックスの後の賢者タイムに「もう一回」って強請ってきた子がいて何もできなかったことがある。 あの時は何でわかってくれないんだよとか思ってたけど、今日何となく女の子の気持ちがわかった。 あれは気持ち良いわ。そりゃ、もう一回ってなるよな。 男みたいに賢者タイムないし、何回も連続でイク気持ち良さは今まで感じたことのない快感だった。 「城崎…」 「んー?」 「一口」 「はい。」 ビールを飲む男らしい城崎の喉仏が綺麗で、ボーッと見つめた。 なんか城崎の飲むそのビールが欲しくなって、城崎からもらって口をつける。 「何これ、ぬるっ!」 「あはは。」 城崎の飲んでいたビールは常温で不味かった。 よくこんなの飲めるな…と城崎を見上げると、あんま何も考えてなさそうだった。 「よくそんな温いの飲めるな。」 「今邪念(じゃねん)を払ってるので……。」 「何だそれ。」 クスクス笑うと城崎はぎゅーっと俺を抱きしめた。 表現できないような強い幸福感が俺を襲う。 「今何も考えたくないかもですけど、言ってもいいですか?」 「うん?」 「めちゃくちゃ好きです。先輩のこと、大好き。」 「ははっ。知ってるって。」 「好きが溢れてきて怖いくらいなんです…。どうやったら伝わりますか?」 「一生俺のこと好きでいてくれたら伝わるかな。」 「ぐぅ…っ!!」 城崎は言葉を失って、代わりに俺を抱きしめる力を強くした。 痛い痛い…。 口には出さないけど。 唐突に下手になる城崎の愛情表現に笑いそうになった。 「城崎、可愛いな。」 「先輩が世界一可愛いです…。」 「それ、喜んでいいの?」 「はい。」 「俺、男なんだけど?」 「男だけど、俺の恋人ですから。」 真剣な顔でそんなこと言う城崎。 我ながら、本当に愛されてると思う。 二人で狭いシングルベッドに潜り、暑いのに抱きしめあって眠りについた。

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