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第133話
ソファまで連れて行き、水で濡らしたタオルと団扇 を持ってソファの前に座った。
タオルを城崎の額に置き、団扇でそよ風を送ってやる。
「城崎、大丈夫か?」
「気持ちいい……」
城崎は幸せそうにふにゃっと口元を緩め、俺はそれにつられて顔が緩んだ。
頬を触ると、城崎は俺の手を握った。
そのまま眠りについてしまった城崎を団扇で扇いでやる。
「呑気な顔で寝やがって…」
気持ちよさそうに眠る城崎を見て独り言が溢れる。
今日は名前呼びされたからか普段と比べて一段と気分が盛り上がった上に、久々に一緒にお風呂も入ってクタクタだ。
ゆっくり寝たいとこだけど、今すぐ寝てもあと4時間しか寝れない。
疲れが取れる気がしなくてガックリするが、後悔はしてない。
だって、気持ちがめちゃくちゃ満たされてるから。
城崎の前髪を掻き分けて、額を撫でた。
「夏月…」
城崎の名前を声に出してみる。
すげぇ新鮮で、そして何だか照れ臭い。
あいつ、喜ぶかな?
いつか当たり前のように城崎のことを名前呼びする日が来るのだろうか?
「好きだよ。」
城崎が寝てるから冷静な今でも言葉にできる。
言葉にするのは恥ずかしくて、普段なら感情が昂ってるああいうときしか言ってあげれないから。
「あ……やと……さん……」
「っ…!?」
城崎の口が微かに動き、起きてるのかと驚いたがただの寝言だった。
安心して、フッと笑みが溢れる。
名前で呼ばれるの、すげぇ幸せ。
城崎に先輩って呼ばれるのも好きだけど。
友達とかに呼ばれるのとは違う、大好きな恋人が呼ぶ俺の名前。
城崎に呼ばれると、自分の名前がとても特別なものに感じる。
ずっとそう呼んで欲しい気持ちもあるし、今みたいに特別のまま取っておきたい気持ちもある。
だからやっぱり、俺も城崎のこと特別な日だけ名前で呼んでみようと思う。
そしたら特別な日が、きっと、もっと特別な日に変わるから。
「愛してるよ。」
城崎の唇にキスを落として、俺もソファにもたれかかったまま目を閉じた。
変な体勢で寝た俺だけが翌朝筋肉痛になっていたのは言うまでもない。
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