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第134話
梅雨が明けて7月になった。
カラッと晴れた今日は、営業部恒例の納涼会。
「いい天気だなぁ。」
木に囲まれた川沿いの施設。
仕事では基本スーツだから、みんな涼しげな私服で見慣れない。
「おはよ、綾人。」
「涼真!」
「めちゃくちゃ天気いいな。でもやっぱここは避暑地だな〜。すっげぇ涼しい。」
涼真はセットアップのシャツとハーフパンツ。
爽やかイケメンだから夏コーデはよく似合ってる。
涼真は誰かを発見したのか、俺の後ろの方を見て笑顔で手を振った。
「城崎!遅ぇぞ〜!」
ドキッと胸が鳴る。
振り返ると別グループの知らない女の子たちに囲まれてる城崎の姿。
オフホワイトのTシャツにピンクブラウンのシャツを羽織って、真っ黒のスキニーが城崎の細長い脚を引き立てている。
そりゃ女の子が城崎見てキャーキャー言わないはずがないよな…。
少しムッとしていると城崎は小走りにこっちへ来た。
「先輩、おはようございます。」
「……はよ。」
「なんか怒ってます?」
「怒ってねぇよ。」
嫉妬を隠しきれない俺はすぐに城崎に拗 ねてることを見破られてしまう。
城崎は俺と涼真にしか見えないところでぎゅっと手を握った。
「城崎、俺におはようございますは?」
「あー、柳津さん、おはようございます。」
「すっげぇ棒読み。」
涼真はケラケラ笑いながら、俺たちに気を利かせてみんなが集まってるところへ行ってしまった。
二人きりにされたところで周りにいっぱい人がいるから何もできないが…。
「先輩、乳首もやっと元に戻りましたね。」
「いいのやら悪いのやら…。」
「いいに決まってます!」
あの一件以来本当に自他共に触ることは許されず、俺の乳首はまた陥没した。
まぁでも男なのに乳首起 ってるのはかなりやべぇから、引っ込んでくれて良かったのかもしれない。
「みんなのとこ行くか。」
「えー。二人きりがいいですけど、まぁどうせこの人の多さじゃ先輩に何もできないですしね?」
城崎も諦めて俺と一緒に人集 りへ向かった。
営業部の集まりを見つけると、そこには俺の大好きな天使の姿。
「弥彦 くんっ!鈴香 ちゃん!」
「あ!綾人だ〜〜!!」
小さい二人が笑顔で俺の足元へ寄ってくる。
城崎はポカンとしてその様子を見ていた。
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