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第140話
山道を抜けて車の振動がマシになった。
まぁ城崎の運転が上手いおかげか、そこまで酔わなかったけど。
ちゅんちゅんは城崎と趣味が真逆レベルに合わなくて、何の話題を出しても言い合いになっていた。
普段俺に対して敬語の城崎が、ちゅんちゅんには少し口が悪い。
それもなんか新鮮で、二人の言い合いは見てて飽きなかった。
「その服のジャラジャラ減らせよ。」
「シルバーアクセかっこいいじゃないっすか!」
「いっぱいつけりゃ良いってもんじゃないだろ。加減を考えろつってんの。」
言い合いの全て、俺は城崎の味方したくなる。
というか、ちゅんちゅんの趣味は総合的に言わせてもらうとヤンキーというか、チャラい。
基本的に派手だし、ガチャガチャしてる。
一方で城崎はシンプルで大人っぽい。
ちゅんちゅんに言わせれば親父臭いらしいが。
「でもさ、ちゅんちゅん。城崎かっこいいと思わねぇ?」
「まぁモテそうっすよね。」
「そうだろ?間違いなくモテるよ、こいつは。というか、現にモテてる。」
涼真が言い合いに飽きてきたのか、ちゅんちゅんを説得させる方に話を終結させようとしていて笑ってしまった。
水と油みたいに反発する二人、さすがに終結しないだろ。
「柳津さん、いいですよ。ちゅんちゅんにはちゅんちゅんの格好良さがあるんですよ、多分。俺には分かんないですけど。」
「俺も城崎さんの趣味なんて分かんないもんねーだ!!」
大人な城崎、子どもなちゅんちゅん。
側 から見たら城崎の圧倒的勝利だ。
「あ、先輩。ドライブスルーありますけど、行きます?」
「行く!!」
「お前に聞いてねぇよ。」
城崎は俺に尋ねたのに、いの一番にちゅんちゅんが返事した。
まぁ小腹も空いてきたしな。
俺も行きたいと伝えると、城崎はスッと店の方へ曲がった。
メニュー表を見ながら各々 が欲しいものを言うと、城崎は聖徳太子のようにそれを聞いて店員に伝えた。
「金は俺が出すよ。」
「いいですよ、俺が出します。」
「んじゃ、俺が出す。」
「ありがとうございます。」
「なんで綾人のは断って、俺のは受け取るのかな?!」
俺が財布を出そうとすると城崎は手を出してスッと止めたのに、涼真のお金はあっさりと受け取った。
結局涼真に奢ってもらって、俺たちは車の中でハンバーガーを食べながら帰路につく。
運転に集中してくれている城崎には、俺が口にポテトを運んであげた。
「なーんか望月さんと城崎さんって超仲良いですよね。」
「そ、そうか??普通だろ……。」
ちゅんちゅんにそう言われて、俺はビクッと肩を揺らした。
「うーん、なんというか、恋人みたいな距離感というか。すげぇ親密じゃないっすか?」
「あー……、城崎は綾人に懐いてっからなぁ。お前の知らない一年があるから、絆が違ぇんだよ!」
「そうそう!ちゅんちゅんも来年わかるよ、多分!」
涼真のフォローを受け取り、あまり納得していないちゅんちゅんを無理矢理納得させた。
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