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第141話
会社近くの駅に着いて俺たちはお開きになった。
もう辺りは陽が落ちて暗くなっていた。
「ちゅんちゅん、車ありがとな。お疲れ。」
「お疲れ様っす!また会社で〜!」
運転席を取り戻したちゅんちゅんは生き生きした表情で車を走らせて帰って行った。
ここからだと三人とも同じ方面だ。
改札を通ろうとすると、城崎に腕を引かれた。
「ん?どした?」
「帰ろうぜ、綾人、城崎。」
城崎を振り返るけど特に何も返事がない。
涼真はもう改札通ってるし、どうするつもりだ?
「城崎、綾人と二人で話してーの?」
「はい。」
「じゃ、俺帰るわ。お先〜。」
「あ、おい!涼真…!」
涼真はひらひらと手を振ってホームに消えて行った。
城崎に繋がれた手が熱い。
改札の前で男二人手を繋いでるのも視線を集めてしまうもので、俺は城崎の手を引いて人気 のない所へ誘導した。
「どうした?」
「先輩、来週か再来週、デートしませんか?」
「いいよ。どっか行きたいの?」
「先輩の好きなとこ。」
「ふはっ!俺の好きなとこでいいの?」
「はい。」
相変わらず欲のない奴。
行きたいとこくらい言えばいいのに。
「じゃあひまわり畑とかどう?」
「ひまわり畑…?」
「俺好きなんだよな、向日葵 。なんか元気出るじゃん。」
城崎はきょとんとしていたけど、俺が笑ったのを見て微笑んだ。
「たしかに、先輩に似合いますね。」
「そうか?」
「はい、とっても。」
好きな花が似合うって言われるの、なんか嬉しいな。
俺からすれば笑った城崎の方が絶対似合うと思うんだけど。
「ひまわり畑行きたい理由、もう一個あんの。」
「何ですか?」
「運転する城崎格好良かったから。レンタカー借りて行こうぜ。また城崎の運転で。」
素直にそう伝えると、城崎は顔を赤く染めた。
俺にだけ照れてくれる城崎、まじで可愛くねぇ?
これがギャップ萌えってやつなのか?
「学生時代もっと運転しとけばよかった…。」
「えー?あんなに上手いのに?」
「上手くないですよ…。今日だって先輩乗せてるから安全第一で、めちゃくちゃ神経使ったんですから。」
「そうは見えなかったけど、安全運転してくれてるのは伝わってたよ、ありがとう。」
繋いだ手をぎゅっと握ると、城崎も俺の手をぎゅっと握り返した。
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