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第145話
待ちに待った週末。
今日は城崎とドライブデート。
俺は6時に目が覚め、身なりを整えて優雅なモーニングを楽しんだ。
迎えに行くから家で待ってろと言われ、もうすぐ時刻は9時だというところでインターホンが鳴った。
『先輩、おはようございます。もう降りて来れますか?』
「あぁ。今から降りる。」
荷物を持って降りると、城崎がマンションの前で車を停めて待っていた。
黒の普通車、男二人でも違和感ない無難な選択。
「おはよう。」
「おはようございます。」
「城崎ならスポーツカーでも借りてくんのかと思ってた。」
「レンタカーでスポーツカーってちょっと恥ずかしくないですか?ナンバープレートでバレるし。」
「たしかに。」
「あと先輩が照れ屋なので普通のにしました。」
「お気遣いどうも。」
俺は城崎に促されるまま助手席に座る。
間も無くして車は発進した。
車内は俺の大好きなミズチルやV'zの曲が流れる。
「これ最近出た新曲だよな?」
「そう。結構好きなんですよね、俺。」
「俺も。」
「あ、先輩。ちょっと寄り道しますね。」
高速に乗る前に、城崎はドライブスルーのカフェに寄る。
「すみません。ブラック一つとキャラメルマキアート一つ。」
「かしこまりました。」
城崎はキャラメルマキアートを俺に手渡し、ブラックはドリンクホルダーに入れる。
久々にこんな甘いの飲むけど、やっぱ美味いな。
「城崎、美味しい。ありがと。」
「どういたしまして。じゃあ行きますか。」
ナビを設定し目的地へ最短距離で向かう。
ETCも搭載 されてるし、高速もスムーズに通過した。
高速道路って何度運転しても若干の恐怖心が拭えない。
煽り運転が多いから怖いんだよな。
「城崎は怖くない?」
「何がですか?」
「高速道路。」
「怖い要素あります?」
「煽られんじゃん。」
「煽り返せばいいじゃないですか。」
うわ、さらっと怖いこと言ったな、今。
「冗談ですよ。」と言いながら笑ってるが、こいつならやりかねない。
「まぁ先輩乗せてるので危ないことはしませんよ。」
「そうして。」
車ん中で死ぬとかごめんだ。
でも、俺がいてもいなくても、城崎が事故ったりするとか想像したくもない。
もしそうなったらと思うとゾッとして城崎の手を握る。
「俺いなくても、安全運転な。」
「わかりました。」
俺が心配してるのを察したのか、城崎は素直に俺の言葉に了承した。
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