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第147話

しばらく歩くと、そこには見渡す限りのひまわり畑。 空の水色とひまわりの黄色がとても綺麗だ。 「すっげぇ…!」 「綺麗ですね。」 周りはカップルやカメラマン、女の子だけで来ているグループもあるが、男二人は俺たちだけだった。 まぁ気にしちゃ駄目だ。 と思っても、城崎が女を引き連れていない以上、女豹(めひょう)に狙われるわけで。 「お兄さん達お二人ですか?♡」 「綺麗ですよねぇ、向日葵。よかったら一緒にどうですか?♡」 「お兄さん超イケメン♡今からデートしませんか?♡」 歩けば歩くほどその辺の女の子に声を掛けられる。 その度に城崎が断り、離れては別の子が誘ってくる。 無限ループ……。 「先輩、ちょっとあそこ入りませんか…?」 「お、おう…。」 城崎の指したひまわり畑が経営する小さなカフェへ向かった。 幸い丁度席が空いたため、ソフトクリームを買って席に着く。 腰掛けた瞬間、城崎ははぁっと大きなため息をついた。 「疲れた………。」 「お疲れ。本当おまえモテるな。」 城崎の頭を撫でると、城崎は()ねた顔で俺を見た。 「先輩目当ての子、結構いたでしょ。」 「全部城崎目当てだろ。」 「先輩のことチラチラ見てる子沢山いましたよ。」 「そりゃ品定めじゃねーの?こんなイケメンの隣に誰がいるんだって。」 俺だってチビでもないしデブでもガリでもない。 なんなら女の知人にはイケメンの部類だと言われたことも少なくない。 でも城崎は特上だから、並ぶと俺は並になる。 「あー…。俺だけの先輩なのに…。ゆっくり写真も撮れやしない…。」 「本当だな。俺が持ってても城崎と女の子の写真になっちゃうしな。」 「そんなのいらないです…。」 「まぁこれでも食えば?」 買ったソフトクリームを城崎に差し出すと、城崎はあーっと口を開けた。 「自分で食え。恥ずかしい。」 「やだ。あーんしてください。」 「人前だぞ。」 「食べさせてくれないと食べません。」 「………ったく。」 仕方なく城崎の口元へソフトクリームを運ぶと、城崎は嬉しそうに頬張った。 一口食べさせたからか満足して、あとは自分で食ってくれるらしい。 ソフトクリームは濃厚なミルク味で美味かった。 「話しかけないでくださいって(ふだ)貼って歩きたい…。」 「ぶふっ…!貼れば…?」 「もういっそ周りから見えるとこで先輩にキスしたら駄目かな…。」 「駄目だろ。」 真面目な顔でそう言う城崎を、真面目な声で制した。 城崎はブゥっと膨れて拗ねたが、写真のことも考えるとそろそろ行こうとカフェをあとにした。

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