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第148話

太陽の日差しが降り注ぐ中、俺たちはまたひまわり畑へ足を向けた。 できるだけ人気のない方へ進むも、城崎の背が高すぎてすぐ女の子に見つかる。 「あの…、よかったら……」 「よくないです。」 カフェを出てから7組目。 暑さとしつこさに城崎の怒りが溜まってきていて、断り方が雑になっている。 女の子もシュン…と悲しそうに引き返していった。 「城崎、顔怖い。」 「もう女の子怖い。先輩だけ見てたい…。」 「俺がこんなとこチョイスしたのが悪かった?」 「んーん。先輩は悪くないです。」 楽しくなる予定だったのに、城崎が疲れた顔してて何だか悲しくなった。 いかにもデートスポットというか、女の子が好きそうな場所を選んだ俺が悪い気がする。 話題を変えようと辺りを見渡すと、大きなオランダ風車が目に入った。 「城崎、見て。俺あんな本格的な風車初めて見た。」 「あ、本当だ。俺も初めて見ました。」 「向日葵と合うな。チューリップでも合いそう。」 「ここの花畑、今は向日葵畑ですけど、春はチューリップ、秋はコスモスが有名らしいですよ。」 「へぇ〜。すげぇな、それ。」 よかった。 城崎ちょっと笑顔になった。 嬉しくて笑うと、城崎がすかさずシャッターを切った。 「ちょっ、いきなり?!」 「先輩の可愛い顔、撮れました。」 「まぁいいけどさ…。」 撮った写真を液晶モニターで確認して、城崎が嬉しそうに笑ってるから許した。 機嫌治ったならいいや。 「城崎、あの風車バックにして写真撮ってもらおうぜ。」 「はい♪」 風車が映る場所を探すと、丁度そこに写真家っぽいお爺さんがいた。 断られるの覚悟で俺は声を掛けてみる。 「すみません…。あの風車バックに写真撮ってもらうことって……」 「いいよ。」 「本当ですか?!」 「彼のカメラで撮ろうか?」 「お願いします!」 お爺さんは快く承諾してくれた。 手袋をはめ、城崎からカメラを受け取る。 「良いカメラだね。」 「ありがとうございます。でも今日初めてで…。」 「この写真、素敵じゃないか。センスも良さそうだし、本格的にやれば上達が速いかもな。」 お爺さんはさっき城崎が撮った俺の写真を見てそう言った。 城崎も褒められて嬉しそうだ。 「じゃあ撮るぞ〜。笑って!」 カシャッとシャッターが切られた。

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