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第151話

写真を見つめていると、運転席のドアが開いた。 「先輩、お待たせしました。」 「城崎、それ…」 「はい!プレゼントです。」 城崎は向日葵の花束を俺に渡した。 やべぇ…。嬉しい……。 「ありがとう…。」 「どういたしまして。」 「嬉しい…。」 「よかったです。」 花束が潰れないように優しく抱きしめる。 家に帰ったら花瓶に活けよう。 大好きな人に好きな花をプレゼントされるのって幸せだな…。 今までプレゼントする側だったけど、これからはプレゼントされる側もこうやって経験できるんだ。 もらうだけじゃなくて、俺だって記念日には城崎に花をプレゼントしたい。 「城崎は何の花が好き?」 「花ですか?うーん…」 「あんま興味ない?」 「有名な花なら知ってますけど、好きな花と言われると…」 そっか。城崎はあんまり花は興味ないか。 でももらったら、城崎だって嬉しいと感じてくれると思うんだよな…。 「先輩に頂けたら何でも嬉しいですよ?」 「本当か?」 「はい、もちろんです。」 城崎、気遣ってくれたのかな。 でも、嬉しい。 周りに誰もいないことを確認して、城崎にキスをした。 「向日葵、本当ありがとう。」 「そんな喜んでくれるなんて思わなかったです。」 城崎は満足そうな顔で車を発進させた。 都内までまた2時間の道のり。 話してたらあっという間に都内へ帰ってきた。 徐々に日が暮れていき、ポツポツと街に灯りが灯り始める。 「先輩、Aqua(アクア)行きませんか?」 「麗子ママのとこ?」 「はい。酒飲みたいんで、車返してからでもいいなら。」 「いいよ。俺も飲みたい。」 「酔わないでくださいよ?」 「城崎と一緒だから、多少いいだろ?」 そう聞くと城崎は無言になった。 駄目って言わないってことはいいんだろうけど、多分照れてるんだろうな。 Aqua(アクア)の近くでレンタカーを返却し、少し歩いて俺たちは店に入った。

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