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第158話

翌朝、二日酔いでガンガン痛む頭を押さえながらシャワーを浴び、城崎に家まで送ってもらって別れた。 Aquaで飲みまくってからの記憶が(おぼろ)げで、何一つはっきりと覚えていない。 セックスしたのは場所と身体の重怠さですぐに分かったけど…。 日曜は二日酔いのせいで買い物になんか行けるはずもなく、城崎の誕生日までの休日は0になった。 つまり城崎の誕生日プレゼントは、仕事終わりに買いに行かなければならないということだ。 何がいいか考えてみるも、城崎のことを思い出せば思い出すほど分からなくなる。 あいつって俺のためにばっかり金を使って、自分に何かを買うところをあまり見たことがない。 「直接聞いたら?」 涼真と千紗にはそんな適当な返事をされてしまった。 まぁそれが一番手っ取り早いんだけどさぁ…。 俺は意外とサプライズとかそういうのが好きで、だからこそ自分で決めてプレゼントしたものを喜んでくれたらいいな…なんて思う。 ネットでも色々調べてみるが、イマイチピンとこない。 百貨店の中を歩いているとある店が視界に入り、俺はまっすぐそこへ向かった。 ケースに並ぶのは数々の時計。 いいじゃん、時計。 めちゃくちゃいいのは買ってあげられないし、城崎時計持ってるけどいいよな? プライベート用とかで使ってくれたら嬉しい。 「いらっしゃいませ。どんなものをお探しですか?」 「あっ…、えっと、後輩にプレゼント…したくて……。」 「プレゼントですね。ご予算はどれくらいをお考えですか?」 「10万に収まると嬉しいです…。」 「それであればたくさんありますよ、どうぞ中へ。」 店内へ招かれ、店員のお姉さんの話を聞きながら色々な時計を見る。 あんまり安いのは嫌だしな。 そこそこ良いのをプレゼントしたい。 5万以上10万以内が理想的。 「すみません。男の後輩なので、男の店員さんの意見も聞きたいんですけど…。」 「かしこまりました。少々お待ちください。」 店員さん、ごめんなさい…。 心の中で謝りつつも、男性スタッフを待った。 「すみません、お待たせしました。後輩さんへのプレゼントとお伺いしております。」 「あ…、お、お願いします。」 俺の元へ駆けつけたのは、いかにも仕事できそうな笑顔の素敵な俺と同じくらいの歳の男性スタッフだった。 さっきよりも俺好みの時計をたくさん紹介してくれる。 「これとかどうですかね…?」 「素敵ですね。これはイタリア製の時計で……」 長いうんちくが始まった。 機能性とかも聞きたいから、途中で止めずにそのまま話を聞く。 「良さそう。お兄さんならこれもらって嬉しいですか?」 「それは勿論。でもかなり高価なので、値段を知っていたら遠慮してしまいそうです。後輩さんですよね?」 「あー、まぁ…。でもデザインもこれが一番似合いそうなんで、これにします。」 「かしこまりました。在庫を確認いたしますね。」 店員はその時計の新品の在庫を確認するため、店の裏へ行ってしまった。

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