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第159話

城崎に似合いそうな腕時計を見つけて俺は大満足だ。 ベルト部分は革だから、今城崎が使ってるのと違うし、被りはしない。 俺も欲しくなるくらい良いデザイン。 男同士でペアウォッチとか……、いやないな。社会人だしな?同じ会社だし? そもそも、なんて言い訳して2個買う気だよ、俺。 「お客様、在庫がございましたので、今からお包みいたしますね。」 「お願いします。」 新品の時計を破損などないか確認し、店員に渡した。 プレゼントを包んでもらっている間、ずっと考える。 一個くらいペアの何かが欲しい。 女々しい?これは女々しいか? でも城崎もそういうの好きそうだし。 あーーー、でもでもっ…! 「お待たせいたしました。レジまでお願いします。」 「はい…」 悩んでいる間に時間は経ち、俺は会計を済ませて店を出た。 プレゼントは買ったから、あとはケーキと花は当日に買うとして…。 今まで彼女の誕生日は何度か祝ったことがあるが、彼氏の誕生日の祝い方は分からない。 彼女がしてくれたのは部屋をデコったり、ちょっと女の子っぽすぎるし。若すぎるし…。 ていうか、そもそもどっちの家だ? どっちの家で祝う?やっぱ俺ん家に呼んだほうがいいのか? 今年の22日は夏の日で祝日で、しかも次の日も休みだから絶対泊まるし。 祝日って花屋開いてる??ケーキ屋は開いてるよな? 予約しとかなきゃマズい?? 突然知った城崎の誕生日。 やることが多すぎて頭がパニック状態だ。 とりあえず明日城崎にどっちの家に集合するのか聞いて、あと好きなケーキも聞いて、帰りにケーキ予約しに行って…、うん、そうしよう。 ぐちゃぐちゃの頭の中を少しずつ整理していく。 「あ、新しい下着買っとくか……?」 紳士服フロアを歩いているとたまたま目に入ったランジェリーショップ。 いつもボクサーだけど、ボクサーにも種類があるらしい。 城崎もたまに履いてるんだよな、これ……。 少し短めのボクサーパンツを手に取ると、またも店員に声をかけられる。 「ローライズタイプをお探しですか?」 「ろ、ろーらいず?」 「今お客様が持っておられる少し浅めのボクサーパンツです。体のラインも綺麗に見えるので人気ですよ。勝負下着としてご購入される方も多いです。」 「へ、へぇ…。」 そうなんだ。 いや、たしかに城崎履いてるのも普通のやつより短いやつの方がエロくて俺は好きかも…。 「普段着用ですか?」 「や…、勝負下着……かな?」 「でしたらこちらのブランドが大変人気になっております。」 案内されたのは男性勝負下着といえばコレ!って感じの有名ブランドのコーナー。 張り切ってんなって思われるのもアレだけど、城崎だからむしろ分からせたほうがいいのでは? 「これとこれとこれ、買います。」 「かしこまりました。お包みしますね。」 俺は勝負下着も購入して、やっと家に帰った。

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