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第170話

絶倫城崎が動きを止めたのは、セックスし始めて2時間くらい経った頃だと思う。 正確な時間はわからないけど、映画一本見終わるくらいはしてた気がする。 「綾人さん、無理させてごめんなさい。」 「んくっ……、んっ」 城崎はヘッドボードに置いてあったミネラルウォーターを口に含んで俺に口付けた。 城崎から送られてくる水を飲み込むと、枯れた喉に染みた。 「なんか、懐かしいな。」 「え…?」 「(あえ)ぎ過ぎて喉カラカラなの、初めてシたとき以来だわ。」 「そういえば、そうでしたね。あのときは綾人さんが飲ませてくれましたもんね。」 「飲ませろっつーからだろ。」 二人で顔を見合わせ、プハッと吹き出した。 幸せすぎてなんだか夢見心地だ。 「綾人さん」 「ん〜?」 「挿れたままギュッてしたい。」 「もう疲れたよ、さすがに。」 「動かないって約束するから。」 城崎は甘えるように俺の顔や耳や首筋にキスを落とす。 相変わらず甘え方が可愛い。 「いいよ。」 「やった♡」 城崎の少し柔くなったフニャチンがゆっくり俺の中に挿入(はい)ってきた。 本当に動かず、ただ俺を抱きしめるだけの城崎。 俺の中はゆっくりと城崎を包み込むように(うね)った。 「綾人さんの中、あったかい…。」 「ん。」 「俺いっぱい出しちゃいました。綾人さんとの赤ちゃんできるかな…?」 「できねぇよ、ばーか。」 「えへへ……。」 城崎は俺のお腹を撫でながら、気の抜けた顔で笑った。 (さず)かれたらなぁ、なんて思う俺も大概バカ。 「俺、本当に幸せ…。綾人さん、愛してる。」 「うん、俺も。」 チュッとリップ音を立てながら唇を合わせる。 中で城崎がぴくんっと小さく動くだけで、城崎が反応してるってわかって嬉しい。 「あ、そうだ。」 「………?」 「おまえにプレゼント。寝ちゃう前に渡したい。」 「こんなにたくさんいただいたのに、まだ何かあるんですか?」 城崎は不思議そうに首を傾げる。 俺は手を伸ばして、ベッドのすぐ隣に置いた鞄を引き寄せ箱を取り出した。 「夏月、24歳の誕生日おめでとう。これからも一緒に過ごそうな。」 箱から腕時計を取り出し、城崎の左手に付けてやる。 城崎は嬉しそうにそれを見つめ、俺をぎゅっと抱きしめた。

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