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第173話

「あー、幸せ。こんな幸せな誕生日、人生で初めてです♡」 シャワーから上がって、スッキリした表情で肌も艶々の城崎。 入る前に冷房をかけ直していたのか、部屋はちょうどいい具合に涼しい。 俺はぐったりと力も入らず、城崎に膝枕をしてもらいながら涼んでいた。 「絶倫って怖ぇな……。」 「ん?」 「何でもねぇよ……。」 若さ故か?それとも城崎の精力が飛び抜けすぎているのか? とにかく俺には半日セックスなんて無理…。疲れた…。 「今日だけで綾人さんのアヘ顔いっぱい見れましたね。一ヶ月はオカズに困らなさそうです♡」 「なに、え、おまえ俺と会う時にこんな発散してるのに一人でもしてんの……?」 「……?」 「………怖ぇよ。え?しないの?みたいな顔してんじゃねぇよ。普通こんなにヤってたら一人でやらねぇだろ。」 不思議そうな顔で俺を見る城崎。 精力強すぎねぇ? 「古い精子は捨てて、新しい質のいい精子を作らないと。」 「作ってどうすんだよ。」 「綾人さんにあげます。」 「いらん。」 城崎の精子は無限湧きでもしてんのか? もし俺が女だったら、確実に初回から妊娠させられてそう。 「綾人さんは週何回してるんですか?」 「え、俺…?今は……、あんましてないかな……。週に1回ペースでお前が触るし。」 「へぇ〜。だから綾人さんはそんなに感じやすいんですね♡はじめ、性欲強い方って言ってたんで、もっとしてるのかなーって思ってました。」 「そういうお前は何回やってんだよ…。」 「週3?4?くらいですかね?」 「?!?!!」 「綾人さんのこと思い出したら、悶々(もんもん)としちゃって…。あっ!」 俺がドン引きしていると、城崎は何か思いついたような顔で俺を見た。 嫌な予感しかしない。 「今度綾人さんが一人でオナニーしてるとこ、見たいなぁ…?♡」 ほら、やっぱり。 嫌な予感的中だ。 俺は目を合わせずに首を横に振って断る。 嫌。絶対嫌!!! 「いいじゃん。綾人さんの一人で気持ち良くなってるとこ、見たいなぁ〜?」 「嫌!!」 「ふーん。そっか。まぁいいです。」 案外あっさり引いてくれて安心した。 やっと変な気がおさまったのか、その後は城崎の作った夕ご飯を食べ、新しいシーツになったベッドに横になった。 「綾人さん、今日は俺のわがままいっぱい聞いてくださって、ありがとうございました。」 「喜んでくれたなら俺も嬉しい…。」 「俺、世界で一番幸せ者かも。誕生日、終わってほしくないな…。」 寂しそうにそう言う城崎の頭を撫でる。 「誕生日じゃなくても幸せにしてやるから。」 「綾人さん…、好きっ!」 「俺も好きだよ、夏月…」 「ぷっ…(笑)綾人さん、顔真っ赤。」 「それは言うなよ…。」 格好つけたかったのに、すぐ赤くなるせいで毎度うまく決まらない。 でも城崎のこんな笑顔見れるなら、それでもいいと思う。 抱きしめたら、城崎は安心した顔で眠りについた。 「夏月、愛してるよ…」 寝息を立てる城崎の耳元で愛の言葉を(つむ)ぎ、俺も眠りについた。

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