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第188話

結局全員パラソルまで付いてきた。 城崎が拒否らないからベタベタ引っ付いてる金髪ギャル。 今か今かとチャンスを待ち侘びている城崎狙いの女の子たち。 「ごめんなさい…。あの子、昨日彼氏に振られてヤケになってるんです…。」 「えっ、あ、そうなんだ…。」 そして俺に謝るその連れの黒髪の女の子。 何なんだよ、これ…。 俺は焼きとうもろこしを食べながら海を眺めた。 こんなつもりじゃなかったのにな…。 本当は城崎とゆっくりパラソルの陰で(すず)みながら、海の音を聞いて癒されるつもりだったのに。 「お兄さんたち、仲良しなんですね。」 「え?」 「お揃いの水着着てるし、それに遠くから来たんですよね?」 「何でわかるの?」 「ナンパ目的じゃないのにこの時期選ぶってことは地元の人じゃないですよ。本当、すみません。私あの子には性格的にもあまり強く言えなくて…。」 「いや、拒否しなかった俺も悪いし…。」 金髪ギャルと違ってとても周りを見ている黒髪の子。 仲良しというよりは腐れ縁なのか、嫌でもうっすらカーストみたいなものが見える。 もう俺か城崎が止めるしかないのだろうが、城崎は無の境地に入っている。 「城崎…」 「…………」 「ねーぇ、このお兄さんさっきからずーっと無視。やっぱお兄さん遊ぼ?」 「ちょっ…?!」 金髪ギャルは城崎に構ってもらえないのが退屈なのか、ターゲットをまた俺に切り替えた。 でも金髪ギャルが俺に抱きつこうとした瞬間、城崎は金髪ギャルの腕を引いた。 「きゃっ♡やっぱお兄さんムッツリだったんだ?」 「ちげぇから。」 「わっ!城崎っ…?!」 城崎は金髪ギャルをそのままパラソル外へ突き飛ばし、俺を引き寄せた。 突然の出来事に俺も金髪ギャルも、そして外野の女の子たちも目を丸くしてキョトンとしている。 「俺、この人と来てるんで。邪魔しないでくれますか?」 「は、はい……。」 城崎はサングラスをかけて再び横になった。 俺は一応金髪ギャルに声をかける。 「怪我してない?」 「うん…」 「ごめんね。でも俺も君たちとは遊ぶつもりないから。」 「ごめんなさい……。」 「いい出会いがきっとあるから、焦らずに頑張ってね。」 「うんっ!ありがとう、お兄さん!」 金髪ギャルは目をキラキラさせて走って行った。 連れの黒髪の子も会釈してその後を走っていく。 俺はそれを見送って、はぁ…とため息を吐いた。 「先輩、優しすぎ。そんなんだから捕まるんですよ。」 「おまえは怖すぎるわ。見た目は爽やかなのに。」 「だからビーチは嫌だったんですよ。」 そういえば俺が海行きたいって言った時、城崎嫌がってた気がする。 城崎の隣に寝転がって腹筋を指でツンツンすると、城崎は俺の方に寝返りを打った。 「城崎、嫌な思いさせてごめんな。」 「人が入れ替わる前に出ましょうね。」 「うん。だからちょっとだけ海付き合って?」 俺は返事を聞く前に身体を起こし、城崎の腕を引いた。

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