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第190話

着替え終わってビーチを立つ。 この旅行の行き先は全部城崎に任せているため、どこに行くかはお楽しみだ。 というか、背景は夏のビーチ、サングラスかけて運転してる城崎の横顔ってやば…。 格好良すぎて言語化するのが難しい。 助手席に乗った人もれなく全員恋に落ちそうだ。 「先輩?」 「えっ、あ、何?」 「俺のこと見つめてボーッとしてた。もしかして見惚れてました〜?」 「んなこと……ある……けど……」 「………っ」 自分から茶化したくせに、城崎は頬を赤くして黙った。 何だこれ、気まずっ! 「つ、次どこ行くんだよ…?」 「先輩が好きかなって思って選んだ所です。」 そう言った城崎が連れてきた場所は、薔薇が有名な植物園だった。 俺が向日葵(ひまわり)好きだとか、花貰ったら嬉しいとか言ったこと、覚えててくれたのか? それだけで何だか嬉しい。 「あんま好きじゃないですか…?」 「いや、めちゃくちゃ楽しみだけど。」 「本当ですか?!」 「何でそんな自信ないんだよ。」 「だって、一人で旅行の計画立てたの初めてだし…。」 完璧人間のくせに、たまにこんなふうに自信がないのも城崎のいい所だと思う。 ていうか、城崎が俺との旅行すげぇ楽しみにしてくれてたのは知ってるし、俺が楽しめるように考えてくれたプランなんだ。 「城崎、俺のこと好き?」 「はい。めちゃくちゃ好きです。」 「じゃあ俺のことが大好きな城崎が俺のために考えてくれたプランなら、俺が喜ばないはずなくない?」 そう言うと、城崎の表情がパッと明るくなった。 本当可愛い。 チケットを買って渡すと、城崎はすぐに財布を取り出そうとしたが、俺はそれを制してチケットを押しつけた。 入園すると広大な庭園が視界いっぱいに広がる。 中はめちゃくちゃ広くて、園内専用のシャトルバスもあるらしい。 「一番奥までバスで行って、入り口に戻ってくるルートで回りましょうか。」 「それが良さそうだな。」 シャトルバスに乗り、窓から外を見ると色んな花がある。 バスでの音声アナウンスで植物園の解説が流れる。 区画ごとに花の品種が分けられていて、最近はその花に合った物を設置してSNS映えを狙える写真撮影スポットも結構多いらしい。 園内のカフェにはローズヒップティーや薔薇を使ったスイーツもあるらしくて興味が湧いた。 「城崎、どれ行く?」 「先輩が行きたいとこ全部回りましょう。」 「いいのか?」 この後の予定も教えてくれないから、ここでどれくらい時間を使うつもりだったかも分からない。 城崎は時間に関して何も気にするそぶりはなく、パンフレットを指差して俺を見る。 「あ、先輩これは?石鹸とかルームフレグランス作れるみたいですよ。」 「いいじゃん。行きたい。」 マップを見ながら話していると、いつのまにか植物園の一番奥に到着した。

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