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第195話

ひまわり畑へ戻ってきた俺たちはカフェを目指した。 喉もカラカラだし、さっきまで小屋の中で座っていたとはいえ、この暑さ。 涼しいところに逃げないとやっていられない。 薔薇が咲き誇るガーデンエリアに到着し、その真ん中にお洒落なこじんまりとしたカフェがあった。 カフェは冷房がガンガン効いていて、とても涼しかった。 「すみません。ローズヒップティー2つとタルト2つお願いします。」 「かしこまりました。」 席に着くなり城崎は注文する。 テーブルに肘をつき、外を見つめる城崎の横顔を見つめた。 城崎って、薔薇が似合うな。 白のタキシード着せたら絶対王子様じゃん。 城崎の薄くて形の綺麗な唇を見て手を伸ばす。 「先輩…?」 城崎が驚いた顔で俺を見る。 あー、やべぇ。ドキドキする。 好きな相手を見てこんなにドキドキする時が来るなんてな…。 「キスしてぇ……」 「えっ?」 城崎の間の抜けた声に俺はハッと意識を取り戻す。 待って。 まさか今、俺心の声漏れてた? いや、まさか…。 「し、失礼しましたッ…!」 「えぇ…?」 店員さんはテーブルにローズヒップティーとタルトを置いて、顔を真っ赤にして厨房へ帰っていった。 俺、マジかよ……。 「いや、城崎…、その、今のは……」 「………………」 「むっ、無意識っていうか!その、心の声が漏れちゃったっていうか…、えっと、その、とにかくっ…、えっと…」 パニクって墓穴掘りまくりの俺。 城崎は耳を赤くして爆速でタルトとローズヒップティーを平らげた。 食べ終わったあと、すげぇ落ち着きない様子だから、急かされてるのかと思って俺も早めにティータイムを終える。 「先輩、薔薇見たいですか?」 「み、見たいけど…」 「じゃあ15分だけですよ。」 「えっ?」 城崎は俺の手を握りしめ、カフェを出た。 急に何なんだ?! 薔薇が有名なのに薔薇だけ時間制限付き?! 周りの人達が通り過ぎるたびに俺たちを二度見する。 いやそりゃそうだよな。 男二人で手を繋いでたらそうなるよな。 「し、城崎…っ」 「……………」 なんなの?! 俺さっき心の声漏れた上に自分で墓穴掘りまくって超恥ずかしいんだから、フォローの一つや二つくらいくれないか?! 訳のわからないまま薔薇の咲き誇るガーデンを一周し、そのまま城崎の足は駐車場へ向かった。

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