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第196話

車のドアを開けると、ムワッと暑い空気が(こも)っていて思わず身を引いた。 換気するために後部座席のドアを開けると、後ろから城崎に体を押され、そのまま後部座席へ押し倒された。 体勢を整えようと身体を(ひね)ると、城崎は熱っぽい瞳で俺を見つめていた。 スライドドアがゆっくり閉まったと同時に、城崎の顔が降りてきた。 「んっ…!んっ、んぅ……」 「先輩っ…」 両手をシートに縫い付けられ、激しいキスが降ってくる。 狭い車の中でいつも以上に身動きが取れない。 「ちょ…ぁ…っ、城崎っ…、んぁっ」 止めようと声を出してもすぐに舌を絡め取られ、言葉にならない。 気持ちいい。 めちゃくちゃ気持ちいいけど、でもっ…。 「ぁ、……暑いッ…!」 「あ…………、ごめんなさい……」 城崎はハッとした顔で俺から顔を離した。 真夏の炎天下で放置された車の中は軽く40度はありそうなくらい灼熱(しゃくねつ)だ。 こんなとこでおっ始めて熱中症になって倒れたりでもしたら、男二人、車の中でナニしてたってニュースになりかねない。 「落ち着け、な?」 「すみません…。俺、先輩がキスしたいなんて言ってくれたから嬉しくって…。」 「キスしたかったのは本当。だからそりゃ、嬉しいけど。でも冷房入れねぇと暑すぎて死ぬ……。」 「冷房入れたら、続きしてもいいですか?」 「一応外なんだから、程々にな。」 「はいっ!」 城崎は腕を伸ばしてキーを差し込み、エンジンをかけた。 冷房を最大にしてしばらく熱風が出てきたが、徐々に冷たい風が車内に流れる。 「先輩、目閉じて。」 「ん…ぁっ…、ん……んん…」 相変わらず上手い城崎の舌使い。 声が思わず漏れて、羞恥とともに興奮が俺を襲う。 手を握られて握り返すと、そのまま下の方へと誘導される。 誘導された先は、硬く反り立った城崎のペニスだった。 「し、城崎……っ」 「触って、先輩。」 「ぅ…わ、待って……」 「………はぁっ…」 促されるままにするりと撫でると、城崎は目を閉じて気持ちよさそうに息を吐く。 えっっっっろ。 無理。城崎がエロすぎる。しんどい。無理。 「城崎……っ」 「先輩っ、もっと強くていいから…っ」 「駄目だって…、程々にって言ったじゃん…。」 心臓が爆発寸前で、とりあえずこの状況から逃れようと逃げ道を探す。 そんな俺を城崎は切ない顔で見下ろした。 「先輩、俺このままじゃ運転できないです…っ」 はち切れんばかりの城崎のソレ。 嗚呼、神様。 このままじゃ俺は心臓が持ちません……。

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