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第200話

フロントで城崎が名前を言うと、ヴィラへ案内された。 少しだけ歩いたところに点々と見え、そのうちの一つに通される。 「こちらが城崎様が本日ご宿泊されるヴィラでございます。チェックインはお部屋の方でさせていただきますね。」 案内されるまま門扉(もんぴ)を抜け、ヴィラへ入る。 「すげぇ……。」 俺たち以外に誰もいない、完全なプライベート空間。 木製で温かい印象のある明るいヴィラだ。 俺が感動している間に城崎はチェックインを済ませ、仲居さんが部屋を後にした。 「ちょっと探索してもいい?」 「いいですよ。夕食は部屋に届けてもらうようにしました。30分後くらいに来るそうです。」 「サンキュー。俺、それまでにシャワー浴びようかな。」 「じゃあ俺は夜に備えて30分だけ仮眠取っときます。」 城崎はまっすぐリビングルームへ向かい、俺はヴィラ内を(くま)なく探索した。 リビングルームはセミオープンタイプで広々としていて、そのまま露天風呂付きのルーフデッキへと繋がっている。 寝室は和室になっていてリビングと(となり)しているが、仕切りもあるからオープンってわけではなさそうだ。 クローゼットはウォークインタイプで広く、男性用の浴衣が二つ用意されていた。 ある程度探索し終え、俺は夕食が来る前にシャワーを浴びようと、浴衣と新しい下着を持ってシャワー室の方へ向かう。 途中リビングのソファで寝ている城崎を発見。 「ベッドで寝りゃいいのに……。」 ソファも広いからそこまでしんどくはないと思うが、自然の中だからか風通しもいいし陽も沈んで少し肌寒い。 夕食までには起きると言っていたし、せっかく寝付いたのに可哀想だから起こすのはやめた。 城崎にブランケットを掛けてからシャワー室へ向かった。 「ふぅ……。気持ちいい〜。」 少し温めのお湯にして、頭から足先まで全て流す。 汗が流れていき、身を清めているような感覚が気持ちいい。 パイパンにされたことを毎回脱いで思い出すが、下の毛が無いのも若干慣れてきてしまっている自分が嫌だ。 頭も身体も全部洗って、浴衣を着てリビングへ戻ると、丁度インターホンが鳴り、夕食が運ばれてきた。 「城崎、起きて。」 「ん……。もう30分経ちました……?」 「うん。夕食きたぞ。」 城崎は大きく伸びをして体を起こした。 コース料理は分けずに全部いっぺんに持ってきてくれるように頼んでいたから、全て並べ終わった仲居さんが出て行ったのを確認して城崎は俺を後ろから抱きしめる。 「先輩、浴衣とかエロい。」 「ちょ…、こら。今から飯だろうが…っ」 「あー。今日待てばっかで爆発しそうです。」 胸元から中に侵入してきた城崎の手を止めると、城崎は小言を言いながら首筋に吸い付いた。 ジュッと強く吸われ、これは絶対キスマークを付けられたと確信する。 「城崎……」 「綺麗に付きました♡」 「…っ、早よ席つけ。」 城崎はご機嫌な様子で席に着き、俺は正面に座った。 手を合わせて食事を口に運ぶ。 「うまっ!」 「うん。さすが美味しいですね。」 「これ超美味い。」 「じゃあ俺のもあげます。」 「いいって!ちゃんと味わっとけ。」 夕食の和食コース料理は量も味も文句の付け所がなく、大満足だった。

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