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第205話
目が覚めた時には既に太陽が昇っていた。
城崎の姿はなく、もう既に起きているようだ。
時計を見ると8時。
チェックアウトが10時だから、風呂の時間とかも考えるとそろそろ起きないとマズい。
怠い身体に鞭打ってベッドから出た。
「あ、先輩。おはようございます。」
「おはよう……」
どこから現れたのか、城崎がミネラルウォーターの入ったペットボトルを俺に手渡す。
一気に水を飲むと、乾き切った喉に潤いが戻ってくる。
座って水を飲みながら城崎を見上げると、昨日のことが嘘かのようにキラキラ眩しすぎるほどの爽やかオーラだ。
えぇ…?俺より寝てないのに?
なんて思うけど、もしかしたらこれは城崎の若さゆえなのかもしれないと思うと、悲しくなるから考えるのをやめた。
「貸切風呂予約してきたので、今から行きませんか?」
「間に合うか?」
「そのまま朝食バイキング行って戻って支度したら丁度くらいじゃないですか?」
「飯…!」
夜通し身体を動かしていたから、体力使いすぎてめちゃくちゃお腹が空いてる。
ぐぅ〜…と腹の虫が鳴くほどには。
ヴィラの外に出るんだからシャワーくらい…と思ったが、城崎が俺の体も丁寧に拭いてくれていたようでそのまま向かうことになった。
本館に着いて貸切風呂の札を取り、温泉へ向かう。
「あーあ。俺の毛があれば大浴場行けたのに…。」
「だから行かせませんって。」
「いや、こんな時間に風呂入る人そんないないだろ。」
「駄目。それに先輩、たくさんキスマーク付いてますけど見られてもいいんですか?」
「なっ…?!それはお前が付けたんだろうが!」
脱衣所で服を脱ぎながらそんな話をする。
すっかり忘れていたが、そういえば昨日首筋にいっぱい付けられたんだった。
城崎が先に温泉に向かい、一人になった俺は恐る恐る鏡を見た。
「わっ…?!え……?」
首筋や肩甲骨あたりにいっぱい付けられたのは記憶にあるが、鏡に映る俺には背中や腰、太腿にかけて幾つも紅く色づいた印が連なっていた。
いつの間につけたのか…。
「城崎、これは付けすぎだろ…。」
ガラガラと扉を開け、掛け湯をしてからお湯に浸かる。
ムッとしながらも城崎の隣に座ると、城崎は嬉しそうに俺に寄り添った。
「先輩に変な虫つくの、嫌なんで。」
「つかねーって。」
「もう少しご自身の魅力を理解してください…。俺は毎日心配で心配で…。」
「何度も言ってるけど、俺今年30の男だからな?」
「大人の魅力増し増しじゃないですか。」
城崎は俺のこめかみにキスをした。
夜通しヤリまくった後だから、疲れてお互い勃ちもしないけど、幸せは満たされる。
キスを返すと、城崎は嬉しそうに微笑んだ。
「ここ、一組30分の枠だし、朝ごはんもあるのでそろそろ上がりましょうか。」
「うん。あー、腹減った。」
「いっぱい体動かしましたからね。まさか先輩が朝までもつと思わなかったですけど。」
「おい。馬鹿にしてんのか?」
「いや、してないですよ。」
身体を拭いて服を着る。
若干俺のことを馬鹿にしている城崎を肩で小突き、ムスッとした顔をすると城崎はくすくす笑いながらも俺に謝った。
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