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第216話

家に着くと、城崎が冷蔵庫にあるものでぱぱっと夜ご飯を作ってくれた。 料理が得意って、本当に天才だと思う。 「美味そう。」 「ねぇ、先輩。早く食べて。」 「ん?」 「帰る前に先輩とたくさんイチャイチャしたいです。」 頬杖をつきながらニコニコ俺を見る城崎。 このあざとい男は、おねだりしたら俺が断れないことを知っている。 夜ご飯を食べ終えてキッチンに食器を持っていくと、城崎がそれを受け取って食器洗いまでしてくれた。 「ありがと…。」 「はい♪先輩はソファで待ってて?」 「わかった。」 城崎に言われるまま一度ソファに腰掛けるものの、今から絶対キスの一つや二つすることが目に見えているので、なんだか落ち着かない。 洗面所に向かって入念に歯を磨いてリビングに戻ると、城崎がテレビを消して俺の方に振り返った。 「先輩、来て?」 おずおずと城崎の隣に座ると、顔を引き寄せられてゆっくりと唇が重なる。 それは徐々に深くなって、俺と城崎の息遣いも荒くなっていった。 「………先輩、口開けて。」 「ん…、んぁ……、んっ、ぁ……」 「気持ちいい…?」 「ぅん…、……きもちぃ……、ふ…っぁ…」 「ふふっ…、先輩、ミントの味がする。」 チュクチュクと艶っぽい音が余計に興奮を高めて、俺は城崎に跨り、両腕を首に回してもっと深くキスを強請った。 城崎の右手は俺の腰を支え、左手がお尻を撫でる。 ゾクゾクして身じろぐと、城崎は人差し指でわざとらしく俺の尻の割れ目をなぞった。 「…ゃめっ…、城崎ぃ…」 「先輩、欲しい?」 「……ぁっ、ああっ…、欲しい…っ!」 「駄目。明日もお仕事でしょ?」 「意地悪…っ!じゃあ聞くなぁ…!」 「可愛い…。いっぱいキスしましょうね。」 「ん…んふっ……、んぁ…、ぁっ…」 漏れる声もほとんどが城崎に飲み込まれていく。 舌を包み込まれたり、優しかったり激しかったり緩急のあるキスに俺は夢中になった。 時々目を開くと、優しい目で俺を見つめる城崎と目があって思わず閉じてしまう。 お尻へのもどかしい刺激も相まって、俺はとてもシたい雰囲気になっていたが、城崎は俺の体を気遣って、結局最後まで挿れてはくれなかった。 「先輩、帰りますね。」 「…………。」 風呂に入ったあと、家に帰るという城崎を見送りに玄関まで向かう。 甘やかされたあと、いきなりいつも通りにもなれなくて城崎の裾を掴むと、城崎は俺の前髪を分けて額にキスをした。 「今週末、楽しみにしてます。また来ますから。」 城崎は「おやすみなさい。」と耳元でリップ音を立てて、部屋を出ていった。 そうだ、今週末は花火大会だ。 そのあと家に泊まってくれたりしないかな…? 期待してもいいのかな? いろんな妄想が膨らんで、その夜はなかなか寝付けなかった。

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