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第224話

お腹が満たされ、うつらうつらしている間、城崎はさっきまで俺がやっていた格ゲーで遊んでいた。 最初は操作方法も分からなかったくせに、付き合って俺の家に度々(たびたび)来るようになってから、メキメキ上達している。 別に来る度にやってるわけではないはずなんだけどな…。 今やったら俺が負けそう。 「先輩、眠い?」 「ん…、ちょっと。」 「ふふっ、可愛い。」 いつもなら俺の頬をつまんだり、頭を撫でてくれたりするけど、もちろん今日はそんなこともしてくれない。 触ってくれればいいのに…。 そんなこと思いながら、俺はそのまま眠った。 ちょうど小腹が空いてきた時間に、甘い匂いがして目を覚ます。 キッチンの方で城崎がなんかしてる。 まだ時間は15時だし、餃子作るには早すぎるしな。 そもそも明らかに餃子の匂いではないけど。 「あ、先輩、起きました?」 「ん……」 「丁度できましたよ。はい、どうぞ。」 「えっ!嘘?マジで??」 城崎の手にはお皿に綺麗に盛り付けられたパンケーキ。 たっぷりのホイップクリームにフルーツなんかも盛ったりして、ストロベリーソースがかかってる。 お店顔負けの本格的なパンケーキ。 「いただきます!………美味っ!!」 「よかった。お菓子はあまり作ったことないので、不安だったんですけど…。」 「めちゃくちゃ美味い!店出せるぞ!」 ふわふわで甘くて美味しい。 それにホイップも重くなくて、多くても全然食べられる。 「何で?」 「先輩がお昼食べたいって言ってたでしょ?」 「だって城崎、俺のことジト目で見てたじゃん。」 「お昼ごはん聞いたのにパンケーキって言うからでしょ。でも食べたいから出てきたのかなって思うと、作ってあげたくなって。」 「マジ天才…。今まで食ったパンケーキで一番美味い。」 「お世辞が上手ですね。また作りますね。」 お世辞なんかじゃないんだけどな。 城崎にも食べてみろと勧めたが、「いいです。」と断られたから俺が綺麗に完食した。 おかげで目が覚めて、そのあと一緒にゲームしたり、DVDを見たりしてのんびり過ごす。 夕食どきが近づいてきたら、二人で餃子を作って、ホットプレート準備して焼いて。 ほとんどいつもと変わらない休日。 唯一違うのは、城崎が触ってくれないってことだけ。 「ビール飲まない?」 「駄目ですよ、先輩すぐ酔っちゃうでしょ。」 「だって餃子だぜ?飲もうよ。」 「仕方ないな…。先輩は一本だけですよ?」 俺は冷蔵庫からビールを二本取り出してテーブルに置く。 プシッ…とタブを引いて一気に飲み干した。 「先輩、そんな一気に飲んじゃ駄目ですよ!」 「いいんだよ…っ」 「もう真っ赤じゃないですか…。」 城崎は呆れたように俺を見た。 だって、お酒の力を借りないと素直になれる気がしないんだもん。 夕食が餃子って聞いた時からこの手段に出ることは決めていた。 俺はこんな捻くれた性格だから、素面だと甘えるのも下手くそだし…。 「城崎……」 「何ですか?」 「チュー、して……」 「もう酔ったんですか?まだご飯中でしょ?」 「ベッド行こ…?」 「駄目です。ちょ…、先輩っ?!」 全然誘いに乗ってくれない城崎に気持ちが焦って、俺はテーブルの下に潜り込んだ。

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