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第226話

ppp…… アラームの音に目を覚ますと、時刻は5時。 隣には城崎が一糸纏わぬ姿で眠っていて、綺麗な肌をなぞると肩に俺の歯形が残っていた。 あれだけキスマークを付けられたと怒っていた俺が、逆に城崎にキスマークよりも消えにくい痕を付けてどうするんだ。 「先輩……」 「わっ…!」 寝起きの城崎が俺を抱き寄せて、またベッドに沈む。 触れるだけのキスが何度も降ってきて、俺の目尻や耳、頬にキスして城崎はまた眠った。 前までなら早く帰って着替えてこいと言うところだが、今では城崎のスーツ一着くらいなら、俺の家にも常備してある。 「本当……」 離せなくなる。 城崎と過ごす一日は幸せで溢れているし、一緒に眠る夜は安心して熟眠できる。 もう城崎は俺にとってなくてはならない存在で、生活の一部だ。 「先輩……?」 「痛むか?」 「んーん。先輩がつけてくれた痕、嬉しいです。」 赤黒くなった痛々しい俺の噛み痕でさえ、城崎は大切そうに撫でる。 しばらく抱きしめ合って、唇を合わせ、幸せに浸っていると、城崎は俺の唇にキスして体を起こした。 「先輩はまだ寝てていいですよ。俺、ちょっとシャワー浴びて支度してきます。」 城崎がいなくなったベッドはなんだか寂しい。 シングルだから決して広く感じるとは言えないが、さっきまで二人で寝ていたから寂しいものは寂しい。 結局二度寝できなくて、城崎を追いかけて洗面所に行くと、既に城崎はシャワーを浴びて体を拭いているところだった。 「先輩のえっち♡」 「ばっ…!!は、はぁ?!」 「今バカって言おうとしたでしょ?」 「し、してねぇよ!」 「昨日は俺もそのまま寝ちゃいましたから。先輩もシャワーどうぞ。俺、その間に朝ごはん作っとくので。」 城崎はタオルを腰に巻いて、髪を拭きながらリビングへ行ってしまった。 言われた通りシャワーを浴び、リビングへ行くとほんのり甘いいい匂いがした。 「パンケーキ?!」 「はい。トッピングは朝食仕様です。」 「美味そう。食っていい?」 「どうぞ。」 熱々のパンケーキにバターが溶けて、トッピングにはスクランブルエッグとベーコンが添えてある。 俺が朝食に夢中になっている間に、城崎は昨日使ったホットプレートや食器を片付けていた。 「悪りぃ。全部させちまって…」 「どういたしまして。あ、先輩、ウインナーも食べます?」 「食う!」 城崎の朝ごはんついでに俺の分も焼いてもらい、ウインナーに齧り付いた。 パリッといい音がして、じゅわぁっと汁が溢れる。 絶対高いウインナー買っただろ、こいつ。 「えっろ…」 「??」 「先輩、ウインナー食べてるだけでエロい。」 「知らねぇよ!!」 フランクフルトでもあるまいし。 朝から馬鹿なやりとりをして、俺たちは仲良く満員電車に揺られながら出勤した。

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