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第228話
「涼真、誕生日おめでとう!」
「おめでとうございます。」
城崎が涼真を連れてリビングに入ってきたと同時に、俺はクラッカーを鳴らした。
城崎も小声ではあるが、涼真にお祝いの言葉を伝える。
「すげぇ〜!これ二人でしてくれたのか?」
「そうだよ。なかなかいい感じだろ?」
「30って風船(笑)最近の若い子みたいじゃん。」
飾り付けを見ながら涼真は嬉しそうに笑っている。
よかった、喜んでくれて。
涼真はきょろきょろ部屋を見渡し、ダイニングテーブルに近づいた。
「えっ!何これ、手作り?」
「そー。城崎が作ってくれたんだよ。」
「マジ?俺の好物ばっかじゃん!食っていい??」
「俺も食いたい!これとか……」
「その前に手洗いましょうね、二人とも。」
涼真と俺が唐揚げを摘 もうとすると、後ろから城崎に首根っこを掴まれる。
俺と涼真は顔を見合わせて苦笑し、大人しく手を洗いに洗面所へ向かった。
「「いただきまーす!」」
待ちに待った城崎の手料理に、俺と涼真はがっついた。
唐揚げ、春巻き、ポテトサラダに海老フライ。
「美味っ!!城崎、おまえ天才?!」
「だろ〜?マジで城崎、料理上手いんだよ!お菓子も作れんの!」
「マジ?羨ましい…。いいなぁ〜。俺も料理上手な彼女欲しいって…。」
涼真は料理に感動したり、彼女がいないことに落ち込んだりで忙しそうだ。
「そんなことより、先輩と柳津さん、食事の嗜好 が子どもっぽいですよね。」
「そう?」
「そういう城崎は何が好きなんだよ?」
「ワインに合うものとかは好きですかね。」
「「うわ、大人〜〜。」」
そういうとこがモテるんだろうな〜と、涼真はブーブー文句を言っている。
俺的にはあんまモテてほしくないけど。
でもスカしてる城崎も俺は好き。
目線で気持ちを伝えようと城崎を見ると、城崎は俺の視線に全く気づかず、キッチンの方からシャンパンを持ってきた。
「柳津さん、飲みます?」
「えっ!飲む飲むー!やった〜!」
「俺も!」
「ダメ。先輩はこっち。」
城崎は俺にオレンジジュースを手渡した。
そして俺に背を向け、シャンパンの栓を開ける。
「お〜!飛んだ!」
「先輩、大丈夫?」
「うん。俺は全く。」
というか城崎が俺のこと守ってたから、栓がどこに飛んでったかさえ見えてないし。
相変わらず過保護だ。
「シャンパン美味っ!!」
「涼真、俺も欲しい…」
「先輩は駄目ですってば。どうしてもお酒飲みたいならこっち。」
「ん〜〜!!」
城崎がくれないから涼真に強請ろうとしたのに、城崎にアルコール度数の低いチューハイを口に押し付けられた。
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