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第229話
誕生日会が始まって2時間。
調子に乗ってシャンパンを飲みまくった涼真と、城崎の視線を掻 い潜 りシャンパン数口とチューハイ3缶飲んだ俺は完全に出来上がっていた。
「はーーーーっっ。彼女ほしい〜〜〜。もうこの際、男でもいい!!なぁ綾人、男同士って気持ちいいのかぁ?」
「ん〜……、城崎…♡チューして…?」
「……………」
ザルの城崎だけ酔っていなくて、上司二人が泥酔。ついでに恋人の俺が人前にも関わらずキスを強請るこの状況。
きっと城崎は"カオス"としか表現ができなかっただろう。
「城崎……♡」
「いつこんなに飲んだんですか?はぁ…。目を離した俺が悪かったです……。」
「怒ってる…?」
「別に怒ってないですよ。ただ柳津さんもいるから……、ちょっと、先輩っ?」
「ん〜♡」
俺は頭を抱える城崎に乗り掛かって、唇にチュッチュッとキスを落とす。
別に涼真に関係はバレてるし、いいかな〜なんて。
「わー!キスしてる〜。綾人が城崎とキスしてる〜」
「ふん。悔しかったら涼真も恋人探しな〜?」
「チッ……。綾人、俺ともしろ〜!!」
「は?!やだ!!」
「気持ちいいんだったら俺とも出来んだろ〜!」
中坊みたいにガヤを飛ばす涼真を挑発すると、何故かキレて俺を押し倒した。
涼真の顔が近づいてきて咄嗟に顔を横に向けると同時に、目の前にいたはずの涼真が吹っ飛んだ。
「……ってぇ。」
「いい加減にしろよ、この変態が。」
「し、城崎…っ!」
城崎のグーパンが涼真の頬にクリーンヒットしたらしく、涼真は涙目で顔を押さえている。
城崎はめちゃくちゃキレてるし。
修羅場すぎて酔いが覚めてきて、俺は城崎を抑えることに徹 した。
「城崎、ごめん!ほら、俺は何ともないからさ!な?」
「だから言ったんですよ…。親友でも今後どうなるかわかんないって……。」
「お、落ち着けって!俺も涼真も酔ってたの!ほんとにごめん!俺も飲み過ぎた!悪かった!!」
「わ、悪い……。」
涼真も酔いが覚めたらしく、青褪めた顔で城崎を見ていた。
未遂だし、同性とキス〜みたいな高校生じみたノリだったんだと思う。
普通はそこで笑いが起きて……みたいな感じなんだけど、城崎はゲイで、俺は城崎の恋人だから、あーーー。
「城崎、分かってるだろ?涼真は冗談のつもりだったし、俺も本当にする気なかったし!」
「………」
「今は酔い覚めたから!な?」
「………分かってますよ。ちょっと頭冷やしてきます。」
城崎は部屋を出て行った。
部屋は重ーい空気が漂っていて、俺はゆっくり振り返って涼真と目を合わせた。
「………悪い。」
「いや、大丈夫。」
「男子校のノリで、つい……」
「分かってるって。逆に悪かったな、せっかくの誕生日なのに……。」
「「……………」」
お互い無言になって、二人とも立ち上がって一旦戻しに順番にトイレに向かった。
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