231 / 1069
第231話
「さっきは殴ってすみませんでした。」
「俺の方こそごめん!俺ももし彼女が目の前でキスされそうになったら相手の男殴るし。だから城崎は悪くない!」
「本当にすみませんでした。」
「いや、本当にいいんだって。というか、綾人と城崎が付き合ってるって、分かってるんだけどやっぱり実感なかったというか…。だから、お前が本気で綾人のこと好きなんだなって改めて分かったし。だからいいんだよ!」
「ふーん。じゃあこれからはもっと俺に協力してくださいね?」
城崎と涼真は和解して、さっきまでの気まずさは消えた。
むしろ前より仲良くなったような…?
城崎がああいう意地悪というか、高圧的な態度をするのは心を許した人か本気でどうでもいい人だけな気がするから。
誕生日会を再開し、ケーキを食べた後、プレゼントを渡す。
「涼真!30歳の誕生日おめでとう〜!」
「おいこら、何笑ってんだよ!綾人ももうすぐだろうが!」
「ぶふっ!おっさんだ〜!」
涼真は言い返しながらも、嬉しそうに包装紙をあける。
「うおぉ!財布じゃん!!俺欲しかったんだよな〜。しかもハイブランドじゃん。いいの?」
「嬉しい?」
「当たり前だろ!サンキューな、綾人!」
30歳っていうキリのいい歳だから、少し奮発してみた。
涼真が前に財布買い替えようかなってボヤいてたのを隣で聞いていたから。
喜んでくれてよかった。
「柳津さん、俺からもプレゼントです。」
「え、マジで?!」
城崎が涼真にチケットのような何かを渡す。
まさか城崎が涼真にプレゼントを渡すと思ってなかったから、俺も少しびっくりした。
あのサイズだと商品券?それとも何かのライブチケットとか…?
「開けていい?」
「どうぞ。」
「何かな〜…………、婚活パーティー招待状……?」
涼真がワクワクした顔で封を開け、中を見て固まる。
それを見て俺と城崎は吹き出した。
「ぶふっ…!こ、婚活…(笑)」
「柳津さん、いい家庭を築いてくださいね。俺は先輩と幸せになるのでそれは必要ありません。」
「城崎〜!!!」
涼真は城崎に掴みかかる。
もちろん冗談で突っかかる感じだけど。
「まぁ何にせよ、二人とも本当にありがとな。マジで嬉しい。あと今日で城崎とも仲良くなれた気がするし?」
「俺も城崎と涼真が仲良くなってくれて嬉しい。」
「先輩ニコニコしてて可愛い。……あ、柳津さん。」
「何?」
「仲良くなったついでにお願いがあります。」
「お前が言うと嫌な予感しかしないんだけど。」
城崎は俺のポケットからメモリーカードを取って、パソコンを開く。
そしてフォルダを二つ並べて、パソコンの前に涼真を座らせた。
「この二つのフォルダ、写真全部見て一番いいと思った写真教えてください。」
「そんなこと?いいよ。これ、おまえらが撮ったの?」
「そうですよ。」
涼真は一枚ずつ写真を見始めた。
俺の写真に感嘆の声をあげていて手応えあり。
これは俺が勝つだろうと、デートの場所を考えていると、涼真が一際大きく反応した。
「これいいじゃん!」
「どれ?…………えっ?!」
パソコンの画面を覗き込むと、そこには一眼レフで撮られた美しい青の洞窟の写真が表示されていた。
ともだちにシェアしよう!