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第233話
日曜日、まだ俺が着替えてもない早い時間にインターホンが鳴った。
誰だ?なんて考えるまでもなく、あいつだろう。
案の定モニターに映るのは、ニコニコの城崎。
とりあえずロックを解除して、城崎が来るのを待った。
「先輩っ!おはようございます♡」
「おはよう……」
ボストンバックを持って、俺の恋人はやってきた。
大体のものは俺の家に揃ってるから、持ってくるのは会社に行くためのスーツだとかシャツだとか、それくらいだ。
バックからスーツやシャツを出し、皺 にならないようにハンガーにかけていく。
着替えが入ったバックは、書斎の邪魔にならないところに置いていた。
「来るの早すぎだろ…。」
「だって、少しの時間も無駄にしたくないじゃないですか。俺、1秒でも長く先輩と居たいですし。」
「そうかよ……」
「それに先輩の朝ごはんも作ろうと思いまして。卵とベーコンも買ってきたので、朝は目玉焼きとトーストにしましょう。キッチン借りますね。」
城崎は俺の頬にチュッとキスをして、キッチンの方へ向かっていった。
俺はその場でヘナヘナと崩れ落ちる。
「大丈夫かな……、俺……」
城崎が泊まるなんてしょっちゅうなのに、今日から一週間ずっと城崎と一緒に居るって考えれば考えるほど、昨日はドキドキして眠れなかった。
ここまでバカップルだった過去はなく、日常的にキスしたりされたりってのには未だに慣れない。
不意打ちのキス一つでドキドキしてる自分が、この一週間を乗り越えられるのかとても心配になった。
しゃがみこんでいると、リビングの方からいい匂いがしてきた。
「先輩、もう朝ご飯できますよ〜」
「お、おう。」
リビングの扉を開けると、ベーコンの焼けた香ばしい匂いと珈琲の匂いが鼻をくすぐる。
城崎は俺の前に珈琲を置いた。
「なんか甘い匂いもする。」
「先輩のはフレンチトーストにしてみました。好きですか?」
「え!大好き!!」
城崎が用意してくれたのは、ふわふわトロトロのフレンチトースト。
手を合わせて一番初めに手をつけた。
「めちゃくちゃ美味い…。幸せ……」
「先輩、表情緩みすぎ(笑)」
「だって美味いんだもん…。」
自分でも何度か作ってみたことはあるが、こんな美味しく作れなかった。
さすが料理が得意な奴が作ると違うもんなんだなと感心する。
「また作りますね。」
「パンケーキもまた食べたい!」
「そうでしたね。あと小倉トーストも今度作ってみましょうか?」
「欲しい!!」
朝から大好物食べれるなんて、どんなに幸せなことだろうか。
嫁にしたい男1位に輝けるぞ、城崎。
「とりあえず今日から一週間、俺が家事全部するって約束なので、先輩は俺を癒すことに専念してくださいね?」
「わ……、わかった……。」
「食べ終わったので洗濯干してきます。早く起こしちゃいましたし、眠かったら寝ててくださいね。」
城崎は洗面所の方に姿を消した。
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