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第239話

快感に身体を動かせば動かすほど、後ろに挿入(はい)ったエネマグラが前立腺を刺激して、俺を絶頂へと導く。 城崎がほしい。 感じるのは人肌じゃなくて無機質な何か。 今俺を気持ちよくしているのは、城崎じゃなくて玩具(おもちゃ)だ。 「やだっ…、やだぁ……」 城崎が近くにいるのに、城崎以外でイクなんて寂しいじゃんか。 なんでオナニーしないといけないんだよ。 見たいって言ったんだから、責任持って目の前にいろよ。 城崎に対する文句の数々が溢れ出してくる。 「ぁっ…う……」 思考が弾けそうになる。 今すぐ玩具なんか放り投げて、ドアを開けて城崎のところへ行きたい。 でも多分今エネマグラを抜いてしまったら、その刺激でイクと思う。 それに、イクまで部屋から出ることを禁じられている。 「バカっ…、城崎…、城崎ぃ……」 脚にも力が入らなくて、這いつくばってドアに手を伸ばす。 霞む視界に映るのは、ドアの隣に置かれた城崎のボストンバック。 手を伸ばしてバックを引き寄せ、手探りで中から衣類を取り出した。 「んっ…、ぁっ、城崎っ!城崎……ッッ!!!」 城崎の服から香る、柔軟剤と少し香水の混ざった匂い。 抱きしめられてる時と同じ匂いがして、俺はやっと安心して絶頂に達した。 達した後も動き続けるローターと、ずっぷり(はま)ったエネマグラ。 嗚呼、もうこのままもう一回……。 と思った矢先、書斎の扉が開いた。 「えっ?…んんっ?!」 「先輩っ!可愛すぎます…!!」 「んぁ…っ、ちょ、城崎…」 「んっ…、チュ……、先輩、可愛い。」 「んゃっ!」 突如部屋に入ってきた城崎に組み敷かれて、熱烈なキスをお見舞いされる。 キスされながらエネマグラやローラーを外されて、思わず変な声が出た。 一体なんだというんだ。 可愛い可愛いって、何も見てなかったくせに何の話……。 「先輩、やだやだって言ってたのに、俺の服抱きしめてイッちゃったの?」 「?!!」 「可愛すぎますよ、本当に。ねぇ、先輩、どうですか?本当の俺に抱きしめられた感想は?」 城崎の体温と、さっきより強く香る城崎の匂い。 柔軟剤だけじゃなくて、汗とか、あと香水の匂いもはっきり分かるし、それに城崎自身の優しい匂い。 「………安心する。」 「!!」 「しばらくこのままでいてほしい…。」 「もちろんです!!」 本当は見てたの? どこから?監視カメラなんてないのに。 そんな質問、あとからでいいやと思ってしまうほど、俺は自分で思うより一人でイクのが寂しかったらしい。

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