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第247話
翌日、城崎と二人で満員電車に揺られながら出勤した。
もちろん、おはようといってきますのキスは済ませている。
「おはようございます。」
「あ!望月くん!!大丈夫だった?!」
「望月、悪かった。本当にごめん!!」
「望月さぁ〜んっ!心配しました、よかったですぅ〜」
営業部に着くなり、昨日飲み会に参加してた同僚に囲まれる。
大丈夫だけど今後ああいうのはやめてほしい…、なんて空気を悪くするようなことは口に出来ず苦笑していると、城崎が俺の前に立った。
「飲み会はいいですけど、今後飲めない人にお酒を強要するのはやめてください。今度同じようなことがあったら、冗談抜きでパワハラで訴えますよ。」
「ちょ、城崎!?」
俺のこと守ってくれるのは嬉しいけど、城崎が目をつけられたらどうしようと内心焦った。
でも、みんなは逆ギレしたりせず、揃って頭を下げた。
「「本当にすみませんでした。やりすぎました。」」
俺に飲ませようとしていた上司や友人も、本当に反省しているようだった。
というか、そうだよ。
俺の大好きな営業部は根っからの悪い人はいない。
酔っ払った悪ノリでああなってしまったけど、本当はみんな優しくていい人たちだから。
部下に叱られたとしても、正論言われて逆ギレするような人なんていなかった。
「城崎くん、本当に心配してたものね。」
「血相変えてタクシーに乗って行っちゃったからびっくりしましたぁ〜」
「そういうのはいいですって…」
女性陣にそう言われて、城崎は頬を赤く染めた。
昨日も思ったが、本当に心配をかけたらしい。
「城崎、ありがと。」
「どういたしまして…」
まぁこれで一件落着。
俺が倒れた騒動で、俺の恋人の件も有耶無耶 に……。
「まぁいろいろあったにせよ、望月の彼女の名前も分かっちゃったしな〜。」
「?!!」
「本当、やっぱりいざとなると最後に会いたい人の名前が出ちゃうもんなのかな〜?」
「?!?!」
歳の近い上司がニヤニヤと俺の肩を掴んで聞いてくる。
え、待って。俺、もしかして城崎の名前言っちゃったのか?!
おろおろしていると、城崎が上司を睨んだ。
「反省してます?」
「おーおー怖い怖い。してるって!でもやっぱり恋人いじりはしたいじゃん??」
「そうそう。なー望月〜、さきちゃんとどこまでいってんだよ〜?」
「………?」
"さきちゃん"……?
聞いたこともない名前に首を傾げると、城崎がコソッと耳打ちしてくれる。
「先輩、倒れる前に俺の名前呼んだんですよ。"さき"だけ聞こえたみたいで、彼女の名前だと思い込んでるみたいです。」
「えぇっ?!」
城崎と恋人関係というのがバレなかったのはよかったが、営業部のみんなには俺の彼女が"さき"と認識されてしまったらしい。
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