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第255話
「ただいま。」
「先輩っ!おかえりなさい!」
「うぉっ…!」
外回りから直帰すると、ドアを開けるなり城崎が飛びついてきた。
もちろん、おかえりのチューも。
「ご飯用意してます!先にお風呂にしますか?それとも、俺にします…?」
「ばーか。」
「先輩ノリ悪いです!」
以前俺がしたやつ、まさか城崎がしてくれるなんて思いもしなかった。
恥ずかしくてはぐらかすと、城崎は少しいじける。
「城崎……?」
「ご飯…、用意してきますね……。」
「城崎、こっち向けって。」
俺に背を向けてリビングへ行ってしまう城崎の腕を引く。
振り返った城崎は、しょげた仔犬みたいな顔してた。
「風呂……。」
「……?できてますよ。着替え用意しておくので、このまま入ってきてください。」
「そうじゃなくて…」
城崎を元気づけたいのもあるけど……。
「一緒に入るか…?」
「えっ?!」
「今日は健全に…、ンっ…」
城崎の服の裾を握ると、また城崎の腕の中に包まれる。
あぁ、城崎のキス、気持ちいいな。
流されるまま、城崎のキスに夢中になる。
「は…ぁっ……、ン……んんっ…」
「好きです……、先輩…っ……」
やべー…。
城崎の舌使いが上手すぎて、ちょっと勃ってしまった。
どうせ隠しても、バレてるんだと思うけど。
「ふ、風呂は……?」
「はい♪一緒に、入りましょう?」
「わ、わかってると思うけど、くれぐれも」
「はいはい。健全に、ですよね?」
5分後に入ってきてくれと頼むと、城崎は「わかりました。」と渋々了解した。
普段なら絶対約束守らずに入ってくるんだろうけど、今日はちゃんと言いつけを守って5分後に入ってきた。
「珍しいな。」
「だって、先輩に嫌われたくないですから。」
「別に嫌わねぇけど。それより城崎、朝なんか言ってたのって…?」
「覚えててくれたんですか?!」
「そりゃ、あんだけ念押されたらな。」
城崎に後ろから抱きしめられる形で湯船に浸かる。
お湯は気持ちいいし、恋人と触れ合ってるのは何だか安心する。
仕事の疲れも相まって寝そうになっていると、城崎が耳元でぼそっと呟いた。
「俺、先輩と同棲したいです…。」
「………へ?」
「貪欲すぎますか…?でも俺、この4日間だけでも本当に幸せで…。幸せすぎて、あと3日しか一緒に暮らせないなんて耐えられないです…。」
「…………」
「先輩はどうですか?この数日、先輩は俺と暮らしててしんどかったですか?疲れました…?」
城崎は少し期待するような、それでいて不安そうな目で俺の様子を伺った。
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