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第256話
この4日間…。
恋人同士、すごく甘くて濃密な日々だったと思う。
休みの日はそばに城崎がいて、出勤日でも行く前も帰ってからも城崎がいる。
疲れたら癒してくれるし、当たり前のように触れ合える。
同棲って、こんなに心地良いものだったっけ?って感じてしまうくらい、幸せだった。
城崎に大切にされてるって、すごく実感した。
「先輩……?」
「み、見んな……!」
「顔、赤いです。可愛い……。」
思い出せば思い出すほど恥ずかしくなって俯くと、城崎は俺の顔を覗き込んで嬉しそうに微笑む。
髪や首筋に触れるだけのキスがたくさん降ってきて、俺はその度に身体をびくつかせた。
「先輩、可愛い。好き。大好き。」
「……………」
「同棲、駄目ですか?」
「……………」
「先輩が嫌がることは絶対しないし、負担もかけないようにしますから。」
「……………俺だって、城崎と暮らしたい……。」
「……!!!」
小さな声で俺の気持ちを伝えると、城崎は目を見開いた。
歓喜にあふれ、俺を抱きしめた拍子に、バシャッとお湯が跳ねて顔にかかる。
「バカッ!顔にかかっただろ!」
「先輩〜〜っ!!」
「落ち着けって…!」
「落ち着いていられる状況じゃないです!あー、もう。あー……。ねぇ、先輩?明日から新居探してきていいですか??」
「ちょ、おい…」
「どうしよう?どんなとこがいいですかね?リビングとキッチンは広々してて、寝室はダブルサイズが入ったら充分ですよね?あとは駅近で、予算は?予算はどれくらいならいいですか?」
「待てって!城崎、落ち着け。」
早口で捲し立てる城崎を止める。
びっくりした。
まさかこんなに喜ぶとは思わなかったから。
というか、こいつの仕事の速さを考えたら、本当に明日から新居探して、見つかり次第すぐにでも同棲始めましょうとか言い出しかねないな。
「家具とか全部買い直しますか?食器とかペアで揃えたいですよね。あー、先輩と毎日同じ家に帰れるなんて想像しただけで……、んっ」
「一旦、落ち着こう。な?」
「はい……っ」
珍しくお喋りな城崎の口を、俺の唇で塞ぐ。
城崎はやっと大人しくなり、俺を抱きしめた。
いつもより力が強くて、まだ興奮冷めやらぬことが伝わってくる。
「俺も探そうか?」
「先輩、何かこだわりありますか?」
「いや、別に。」
「じゃあ、俺の独断で探してきてもいいですか?」
「ん。いいよ、任せる。」
どうやら理想があるようなので、物件探しは城崎に一任することにした。
「もちろんベッドは一つでいいですよね?」
「いいけど…。毎日ヤんのは無理だぞ?」
「わかってます♡触るのはいいですよね?」
「駄目だろ。」
「ええー?!」
いつもならしょげそうなところも、今日は嬉しいのかニコニコしている。
風呂から上がって、食事を温め直している間も、城崎はずっと鼻唄を歌ってご機嫌な様子だった。
「おやすみなさい、先輩♡」
「おやすみ。」
おやすみのチューをして、城崎に抱きしめられながら俺は目を閉じた。
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