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第265話

情事が終わった後、お互い脱力して抱き合っていた。 尻の中が変な感じだけど、全部城崎のものと思えば全く苦だとは感じなかった。 「綾人さん…、煽んの上手すぎ……。」 「スッキリした?」 「…………スッキリっていうか…、はい……。めちゃくちゃ気持ちよかった…デス。」 「そりゃよかった。」 恥ずかしそうに俺に擦り寄る城崎。 若いなぁ、可愛い。 抱き締めると、城崎は心配そうに俺の顔を覗き込む。 「体、ヘーキ?」 「ん?うん。」 「ずっとシてたし、その……、生はしんどいでしょ…?」 「女じゃねぇから大丈夫だよ。」 「でもお腹壊しちゃうから…。」 俺のお腹をさすりながら、城崎は申し訳なさそうにそう言った。 前も言ってたな、そういえば。 俺の腹をさする城崎の手に自分の手を重ねる。 「綾人さん…?」 「俺が子ども、産めたらなぁ」 「え?」 「俺たちの赤ちゃんとか、絶対可愛いじゃん。」 そう言うと、城崎はボボボッと顔を赤く染めた。 実際城崎の遺伝子継いでたら、相当イケメンか美女が生まれそうだけどな。 こいつ、本当に俺みたいな男が恋人でいいのかよ? 城崎がよくても、世間に殺されそうだなぁ、俺。 「俺たちの…、赤ちゃん……」 「ちょ、おい…っ」 「そんなの、堪んないですね…」 城崎は俺のお腹に顔を寄せて、何度もキスをする。 嗚呼(ああ)…、城崎も子ども欲しいのか…。 俺からこいつのこと、離してやんなきゃ駄目か? 城崎の髪を撫でると、不思議そうに上を向いて、ムッとした顔をした。 「綾人さん、今変なこと考えてるでしょ。」 「え、変なことって?」 「俺と別れるとか、考えてないよね?」 「……………」 バレてる。 なんで?そんな顔に出てた? ()らした目をもう一度合わせると、城崎は俺のことを真っ直ぐ見つめて言った。 「俺は綾人さんから離れません。」 「…………」 「さっき言ったのは綾人さんとの赤ちゃんの話であって、綾人さんと授かった子にしか興味はないです。」 「いや、授かれねぇし…。」 「だから俺は別に赤ちゃんに興味ないんですって。綾人さんが可愛いこと言うから、もし綾人さんとの赤ちゃんできたら可愛いだろうなって想像しただけ。」 ほんとかよ…? 一瞬そう思ったのが馬鹿らしいと思えるくらい、城崎は俺のことをまっすぐな目で見ていた。 「ごめん……。」 「綾人さんこそ、子ども欲しいんじゃないですか?」 「好きだけど……、俺も夏月と居たい。」 「はー………、好き。すげぇ好き。もう本当、大好きです、綾人さん。」 抱き寄せられて、何度も触れるだけのキスをする。 この先どうなるのか、まだ俺たちだけの秘密の関係だから。 こいつと居るために、周りに認めてもらうために。 いろいろ覚悟を決めないとなと、ふとそう思った。

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