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第269話

翌朝、6時には城崎から「おはようございます」とメッセージがきていた。 多分いつでも来ていいってことだと思う。 朝シャンして、体も綺麗にして、適当に服を着る。 半袖でいいかと思ったが、秋口の朝は少し肌寒い。 軽く羽織を掛けて家を出た。 「早すぎたかな…?」 電車を待ちながら時計を見ると、まだ7時前だ。 まるで平日の出勤日かと思わせるような時間で、思わず笑ってしまう。 今から行くとだけ城崎に連絡を入れると、すぐに「待ってます」と返事がきた。 電車に乗り15分。 駅から城崎の家までの道を歩く。 城崎の家に行くの、城崎の誕生日以来だな。 あの日のことを思い出すと、ぼぼぼっと顔が熱くなる。 初めて口でして、初めてアソコを生まれたての状態にされて、初めてあんな恥ずかしい体位で致して、初めてそのまま繋がった。 今思えば、城崎の家は俺にとっての初めてが結構詰まってる。 「先ぱ〜い!……って、え?顔真っ赤ですよ?!」 「おはよ……。見んな。」 「理不尽!」 マンションの下まで降りてきていた城崎と出くわす。 今日に限っては部屋で待っていてほしかった。 周りに誰もいないことを確かめて、城崎は俺の手を握る。 「先輩が来てくれて嬉しい。」 「…………」 「何そんな照れてるんですか?キスしちゃいますよ?」 「ば、バカ!!」 「あ、やっと目ぇ合った。」 エレベーターが閉まるなり、城崎は俺と唇を合わせる。 俺はビクッと身体を揺らし、そして両手で城崎を押し返す。 だって、最近のエレベーターってカメラついてんじゃん! 「あ、大丈夫ですよ?さすがに付いてないの分かった上でキスしてますから。」 「よ、よかった…」 「なんなら、それ以上しちゃいますか?」 「バカ!!」 冗談でもあり得ないことを言った城崎の頭を叩く。 城崎は何故か嬉しそうに笑っていた。 すぐにエレベーターは止まり、城崎の部屋にたどり着く。 「お邪魔しま……、っっ……!」 「は〜。好き。先輩……♡」 鍵を開けて中に入るなり、城崎は後ろ手にドアを閉めて俺の唇を奪った。 壁に押さえつけられて、頭が空っぽになってしまいそうなくらい激しいキスが繰り返される。 「ん…っは……はっ……ぁ、しろ……ぁ…っ」 「可愛い……。先輩、べーして?」 「ん…ぁ、あ……んん……」 言われるがまま舌を出すと、城崎の舌がぬるりと俺と口内に入り込み、気持ちいいところを刺激する。 足に力が入らず体勢が崩れそうになったところを、城崎は俺を抱き上げてベッドへ連れて行った。

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