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第271話

「綾人さん、泣いてるの?」 城崎は俺の顔を覗き込みながら、愛おしそうに俺の涙を(すく)う。 嗚呼、駄目だ。 胸がいっぱいいっぱいだ。 好きが溢れて、言葉にならない。 「綾人さんが可愛すぎて、俺本当にどうにかなっちゃいそうです…。」 「…………」 「綾人さん以外、視界に入れたくないなぁ…」 「…………俺だけしか見ないで……」 抱きついてそう言うと、城崎は優しく抱き返して、柔らかい声で俺に囁く。 「綾人さんしか見えてないし、綾人さんしか映らないよ。」 「……………」 「こんなに惚れてるのに、綾人さん以外に目がいくわけないじゃないですか。」 「……っ」 「綾人さんの初めてじゃなくても、俺は綾人さんが初恋なんですよ。」 「………嘘」 「本当。まぁそりゃ流れで付き合ったりしたことはありますけど、綾人さんが俺に"好き"って気持ち教えてくれたんですよ。初めてこんな気持ち経験しました。」 「俺が初めて…?」 「はい。だから、綾人さんは自信持って俺に愛されてください。」 そう言って笑う城崎の笑顔に胸がきゅーっと締め付けられる。 この気持ちは何と呼べばいいんだろう? なんて言えば俺の気持ちは城崎に伝わるんだろう? 好きだ、愛してるなんかじゃ、この溢れそうな気持ちを伝えられない。 「城崎ぃ……」 「綾人さん、どうやったら涙止めてくれる?」 「嬉し涙だし……」 「えっ。じゃあもっと泣いて欲しい。」 「ふはっ…!」 真顔でそう言うから、思わず吹き出してしまった。 こんな時も笑わせてくれるなんて、なんかいいな…。 「あー本当、マジで好き。」 「ふへへ。」 「変な笑い方すんな。」 「だって嬉しいんだもん。」 結局俺の肥大化した愛を伝える方法は思いつかなかった。 でも多分、きっと城崎なら俺の気持ちわかってくれるんじゃないかな。 城崎は俺のこと、大好きだから。 「ねぇねぇ綾人さん」 「なに?」 「もっと別の意味で、綾人さんのこと()かせてもいい?」 「ぶっ…!」 城崎は少し腰を揺すって、俺のイイところを小突く。 セックスして、幸せで笑っちまうなんて。 「いいよ。」 「あ。でも俺ん家そんなに壁厚くないから、綾人さん、俺だけに啼いてね?」 「無茶な。」 「じゃあ少し残念ですけど、口塞いじゃいますね。」 城崎の唇が俺の唇と重なると同時に、城崎は律動を再開した。

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