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第275話

風呂上がりはお互いドライヤーで髪を乾かしあって、下着だけ履いたほぼ裸の状態で布団に入る。 だってこの方が城崎の体温感じられるし…。 体はくっつけあったまま、自分のスマホを確認してメッセージなどを返していく。 城崎はスマホを見ながら「あ。」と声を出した。 「何?」 「11月、社員旅行あるじゃないですか。」 「うん。」 「今年は沖縄らしいですよ。」 「へぇ!俺沖縄あんまり行ったことないから楽しみ!」 「一緒に回りましょうね。」 どうやら他部署の同期から連絡が来ていたようだ。 沖縄と聞いて喜ぶ俺を見て、城崎も嬉しそうだった。 「城崎は?沖縄行ったことある?」 「はい。ダイビングとかしましたよ。」 「いいなー。俺初めて行ったの高校の時の修学旅行だから、そんな贅沢できなかったな。綺麗だった?」 「すっごく綺麗でしたよ。是非、先輩と一緒に見たいです。」 まだ自部署では発表されていないが、例年通りなら営業部は部長が教えてくれるのは他部署より異常に遅い。 イベントごとに関しては、こっちから聞かないと大抵忘れている。 今年は城崎のおかげで早く知れた上に、城崎と一緒に行けるし、沖縄だし、ちゃんと前調べしとかないと。 「何食う?どこ行く?すげぇ楽しみ!」 城崎を振り返ると、くすくす笑いながら俺の髪を撫でた。 「はしゃいでる先輩も可愛いですけど、今は俺との時間ですよ。」 「…っ」 「まだ先の話ですし、それはまた今度。」 スマホを取り上げられて、ぎゅっと抱きしめられる。 あったかい…。しあわせ…。 城崎の胸に擦り寄ると、俺を抱きしめる城崎の手に力がこもる。 「先輩、あったかいですね。」 「ん…」 「眠い?」 「うん…」 城崎の腕の中に包まれていると、安心して急に睡魔に襲われた。 胸に耳を当てると、ドクン…と心音が聞こえて心地良い。 目を瞑ると今すぐにでも眠れそうだ。 「寝ていいですよ。」 「んん……、でも……」 「明日もありますから。たくさん甘やかしてあげますよ。」 「う……ん………」 「おやすみなさい。」 ほぼ目は閉じてる。 でも寝る前に一つだけしてほしいことがあるから、頑張って目を開く。 「城…さ……チュゥ………」 「っ!!」 城崎の顔に手を伸ばすと、俺が望んでいた優しいキスを落としてくれる。 あー、これで寝れる。 「お……やす……み…………」 俺は安心して眠りについた。

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